
どこに行ったんだ?まさか庭の外に
依頼者の自宅は想像していた以上の邸宅だった。到着し、親子猫がいたという庭の中に案内されたが、どこにも見当たらない。依頼者は「さっきまでここにいたんですが」と、三角ベースができそうなほど広い庭を見渡した。猫を探していると、近所の住民も手伝いにやってきてくれた。 この日は夏日で、立っているだけでジトッとしてくる。みんな汗をぬぐいながら思い思いに散らばった。 しばらくすると、庭に植えられたツツジの裏で三毛柄の母猫と子猫4匹を見つけた。草が生い茂り見えにくいが、母猫は横になって寛ぎ、子猫は母猫からミルクをもらったり、ゴロンと仰向けになって寝ているようだ。子猫は茶白柄や黒柄が確認できた。しかし、こちらに気が付くと、警戒してどこかへ走り去ってしまった。 「どこに行ったんだ?まさか庭の外に」 初めての場所で勝手が分からない。庭のツツジや生い茂った草木をかき分けて探したが見当たらず、庭から外へ出て行った可能性を考えた。外周を探そうと一度外へ出たが、外壁が高いため、どう考えても子猫が簡単に庭から外へ降りることができそうにない。 門扉の前で「どこへ行ったんだろう?」と思いながら、ふと頭上を見ると、そこには驚くべき光景があった。なんと、立派な門の屋根にある、わずかな隙間に挟まるように子猫4匹がぎゅうぎゅう詰めになって隠れていたのだ。庭の外壁と門の上側で一部繋がっているところがあり、おそらく、そこから逃げ込んだのだろう。 高い所からこちらの様子を不思議そうに見ている茶白柄の子猫がとても可愛らしく見える。目が合い一瞬びっくりしたが、子猫たちがまたどこかへ行かないように私たちはそっと捕獲の準備をはじめた。 門の上側に1人が回り込み、子猫が逃げ込んだと思われる場所に網をセットして逃げ道を塞ぎ、私が地上から保護するという挟み撃ち作戦を考えた。こんなとき、背が高いのは役に立つ。 私は門の下に足場をセットし、片手にキャリーバッグを持って子猫へ近づく。もう一方の手を子猫がいる狭い隙間にゆっくりと伸ばした。すると驚いた子猫たちは一目散に走りだした。1匹は上側でセットしていた網に入ったが、あろうことか残りの3匹が想像していた方向とは違う方へ逃げ出したのだ。 「しまった!」 慌てて子猫を追いかけた。その直後、門の上側にいた1人が1匹を、私が1匹を捕まえ、何とか3匹保護できたが、黒柄の1匹だけ逃げてしまった。 子猫はまだ生後1カ月半ほどである。このままだと…。庭の草木の中に逃げて行ったため、手分けして捜索を始めた。すると、そこへさっきまでいなかった白黒柄の、ちょっといかつそうな成猫が現れた。どうやら父猫。こちらもTNRするため、捕獲器に入ってもらった。
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