メダカを放流する菊池会長（後列右）ら＝藤沢市で
一時は絶滅したと考えられていた藤沢固有のメダカが泳ぐ池が、藤沢市役所の分庁舎入り口に造られた。「藤沢メダカ」を保護する市民グループ「藤沢メダカの学校をつくる会」の要望に、市が応えた。地元に自生する希少な植物も植えてあり、菊池久登会長（６６）は「市民に藤沢の自然に対する興味を持ってもらえる場に」と希望している。（吉岡潤）
会の発足は一九九六年。その前年に地域純系種のメダカが、民家の庭先で生き延びているのが分かったのがきっかけだ。市教育委員会や新江ノ島水族館などと連携して繁殖に取り組み、市内の各学校や一般家庭、企業に配るなどして環境保全を啓発してきた。
池で育てる意義について、菊池会長は「野生の遺伝子を残すため」と話す。「安定した環境で飼っていると天敵もいないし、いわゆる温室育ちで本当の保護にならない。自然の中で生存競争に打ち勝たないと」と説明する。造成のために「百円募金」も実施し、市民から寄せられた三十五万円を市へ贈った。
池の長さは六・六メートル、幅は最大一・五メートル。ミソハギやハンゲショウなど絶滅が危惧される野生植物のほか、数が減っているチョウを呼び込むための食草を周辺に並べた。菊池会長らは五月九日、藤ケ岡中学校の生徒たちや会の運営委員が育てた二百匹を放流した。
「ヤゴや水鳥に食べられてしまうかもしれない。メダカは生き残れるのか、観察したい。こんな植物が藤沢にはあるのかということも市民に知ってほしい」と菊池会長。定期的に変化を記録し、発表も考えていく。
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