[ロンドン/ブエノスアイレス 3日 ロイター] - 5月半ばに事実上のデフォルト(債務不履行)に陥った債務の再編を巡り、アルゼンチンが債権者グループと合意に近づいている。しかし、交渉が破たんして同国が「ゾンビ国家」に陥らないためには、まだ越えなければならない壁がある。
アルゼンチン政府は現在、債務650億ドル(約7兆円)の再編案を練り直している。債権者との距離は縮まっており、債権者側によると数日中にアルゼンチンから新たな提案が出される見通しだ。
アルゼンチンが2001年の大規模なデフォルト後に長い間経験してきた法廷闘争や国際資本市場からの締め出しを回避するためには、債務再編で合意することが鍵となる。同国のデフォルトは、今年5月のものを含めると9回目。
ある債権者は「基本合意に達しなければ、アルゼンチンはゾンビ国家へと歩んでいくことになるだろう」とロイターに語った。包括的な合意に十分な数の債権者を納得させるには、同国は提案内容を改善する必要があるという。
アルゼンチン政府は交渉期限を6月12日に延期し、提案に色を付けることを検討中だとする一方、何らかの変更を行う余地は「非常に狭い」とした。同国は5月末、既に提案内容を一度引き上げている。
主要債権者グループ側も要求水準を下げており、両者の溝が縮まり、合意の期待が高まった。ただ両者とも残された課題はまだ多いとしている。
債権者側は、アルゼンチンは現在の提案よりも多く払えるはずだと主張。アナリストによると、同国の最新の提案は元本1ドル当たり0.40―0.45ドル相当を支払う条件なのに対し、3つの主要債権者グループのうち2つが出した共同提案では、この額が0.50ドル強となっている。
ゴールドマン・サックスは2日のノートで、「今後数週間で合意に達する可能性が高いとの見方に変わりはない」とした。ただ、アルゼンチン政府が支払い金額を大幅に引き上げるとは考えにくく、交渉決裂のリスクも残っていると指摘した。
<ムード音楽>
アルゼンチンの主要な後ろ盾である国際通貨基金(IMF)は1日、政府側の提案は持続可能な内容であり、もう条件引き上げの余地は限られるとして提案を支持した。
同国は今年6―7%前後のマイナス成長に陥り、3年連続で景気後退となる見通し。新型コロナウイルス対策の臨時支出により国庫は逼迫(ひっぱく)し、財政赤字は拡大している。
シティグループはノートで、アルゼンチンはIMFの支持を盾に、債権者が求める水準まで条件を引き上げないことを正当化すると予想した。
とはいえ、アルゼンチン国債は債務再編合意への期待から着実に相場が上昇しており、先月は平均20%強値上がりした。
あるファンドマネジャーは「ここにきて、両サイドのムード音楽は相当変わった」と話し、自身はここ数週間でアルゼンチン国債の保有を大幅に増やして「オーバーウェート」にしたと説明した。
このファンドマネジャーによると、新型コロナによる打撃もあり、アルゼンチン政府は合意を切望している。フェルナンデス大統領も交渉の潤滑油的な役割を果たしているとみられている。
「合意は間近で、市場には大幅な値上がり余地があると思う。特に新興国市場に資金が戻れば、利回りが高く流動性のあるアルゼンチン債には追い風だ」とファンドマネジャーは指摘。「1週間半のうちに合意に至ると考えている。だれもが進展を望んでいるようだ」と続けた。
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June 04, 2020 at 01:46AM
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焦点:近づくアルゼンチン債務交渉合意、決裂なら「ゾンビ国家」に - ロイター (Reuters Japan)
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