NASA/Goddard/University of Arizona
- NASAの宇宙探査機オサイリス・レックスは10月20日、小惑星に着陸し、岩石のサンプルを採取した。
- 映像では、小惑星の表面の岩を窒素ガスで吹き飛ばすなどのトリッキーな操作が確認できる。
- 今後NASAは、宇宙船が地球に持ち帰るのに十分なサンプルを取得したかどうかを判断する。
NASAは10月20日、地球から3億6000万km離れた小惑星に宇宙船を着陸させた。
公開された映像には、探査機「オサイリス・レックス(OSIRIS-REx)」が小惑星に着陸して塵や埃を巻き上げる様子が映っている。このミッションは小惑星の岩石サンプルを地球に持ち帰ることを目指している。
小惑星ベンヌへの着陸は、容易ではなかった。ベンヌの地形は、研究者たちが予想していたよりもはるかに険しく、大きな岩や岩場に覆われていて、探査機が転倒してしまう可能性もあった。探査機が発見できた最も安全な着陸地点も、かなり険しい場所だった。
しかし、オサイリス・レックスは4時間の降下を予定通りに完了したようだ。
「すばらしい。実際に成功したなんて信じられない」とミッションの主任研究員、ダンテ・ローレッタ(Dante Lauretta)はNASAのライブ中継で述べた。
「宇宙船は予定されていたことをすべて行った」
宇宙船のカメラはサンプル収集アームと小惑星の表面に向けられており、その操作の一部始終を撮影した。そしてNASAは21日、タッチアンドゴー作業の重要な段階を示す映像を公開した。
上の動画では、探査機のサンプル収集アームが、小惑星の表面のレゴリスと呼ばれる砂塵が積もった岩場に着地している。1秒後、アームは窒素ガスを放出し、それが約5秒間瓦礫を撹拌して、周囲に巻き上げる。これで、小惑星のサンプルが収集アームの端の容器に採取されているはずだ。
それがうまくいけばオサイリス・レックスが地球に持ち帰ってくるレゴリスだ。
小惑星は、45億年前の太陽系の始まりのころの古代の岩でできており、一部の科学者は、小惑星が地球に生命のための重要な要素を送り届けたと考えている。この原始的な物質を研究することで、科学者は生命がどのようにして誕生したのかを知ることができるかもしれない。
また、この小惑星ベンヌの岩石は、もし将来、地球に衝突する危険が生じた時にそれを回避する計画を立てるのに役立つかもしれない。
オサイリス・レックスが着陸したとき、その下の岩を砕いたようだった。ローレッタによると、これはよいニュースだという。砕かれた粉末状の岩石は、サンプル採取装置の周りを漂って採取されやすくなる。
「もしかすると、小惑星の岩は地球上で我々が慣れ親しんでいるものに比べて非常に脆いかもしれない」
オサイリス・レックスが収集した岩石は、地球上にあるどの地球外岩石のサンプルとも大きく異なる可能性がある。隕石は地球の大気圏を抜けて地上に落下するが、そのためにはある程度の耐久性が必要だ。しかし、太陽系の小惑星の多くは、ベンヌのような壊れやすい岩石で構成されているかもしれない。
オサイリス・レックスは、ベンヌの表面に6秒間滞在した後、スラスターを噴射して小惑星から立ち去った。
NASAとパートナーのロッキード・マーチンは、探査機が十分なレゴリスを吸い上げたかどうかを判断するための作業を行う予定だ。探査機が帰還するには、少なくとも60グラムのレゴリスを採取していなければならない。
十分にサンプルが得られていなかった場合、探査機は2021年1月に小惑星の別の部分にタッチダウンして、再度、採取に挑戦する。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)
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