2021年01月31日16時22分
米グーグルなど巨大IT企業を対象とする「特定デジタルプラットフォームの透明性・公正性向上法」が施行され、今春にも本格的な規制の運用が始まる。規制の狙いや背景などを探った。
―どんな規制なのか。
米グーグルやアマゾンなど日本国内で大規模なネット通販やアプリ販売を手掛ける巨大ITに対し、契約条件の開示や苦情処理窓口の設置を義務付けている。取り組み状況を毎年度報告させ、国が継続的に監視する仕組みも設けた。「楽天市場」や「ヤフーショッピング」を運営する楽天やヤフーも対象となる見通しだ。
―狙いは。
弱い立場に置かれやすい中小・零細事業者を保護するためだ。
巨大ITは消費者の生活に便利なツールを提供するとともに、事業者に対してもビジネスの場を提供している。一方で、規模の面でネット通販の出店者などよりも圧倒的に有利な地位にあり、独占的な存在になりやすい。公正取引委員会の調査では、強い立場を利用して出店者に不利な契約をのませる問題などが指摘された。
―規制は日本だけなのか。
各国も規制に乗り出しており、欧米では巨額の制裁金など厳しい罰則を設けている。日本の規制は、巨大ITの自主的な取り組みを促す点が特徴だ。取り締まりを厳しくすると技術革新を妨害し、日本の事業者や消費者が先進的なサービスから取り残されることへの懸念があるため。東京大学公共政策大学院の大橋弘院長は「透明性を高めることで巨大ITを縛る、日本独自の新しい取り組みだ」と評価する。
―機能するのか。
独禁法に抵触しそうな悪質な事例については、経済産業相が公取委に強制措置を含めた対応を要請することになっている。しかし、これだけで巨大ITに行動を改めさせる圧力になるかは見通せない。制度を運用しながら効果を見極めていくことになりそうだ。
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