【ワシントン=塩原永久】米通商代表部(USTR)は4月30日、貿易相手による知的財産権保護の状況を分析した報告書を発表した。重大な懸念がある「優先監視国」に中国やインドなど9カ国を指定。中国については、知財保護に向けた抜本的な取り組みが「不十分だ」と批判し、対策強化を求めた。
米中は昨年2月、「第1段階」貿易協定を発効させた。報告書は、中国が協定に沿って、知財保護関連の法改正や規制強化を進めていると認める一方、関連制度を「効果的に履行」することが重要だと強調。「状況を改善させる根本的な変革には不十分だ」と断じ、一層の対応を求めた。
新型コロナウイルスの感染拡大にともない、高性能マスク「N95」やコロナ検査キット、消毒剤などの偽造品が、中国から大量に出回ったと分析。世界最大の中国オンライン通販市場で偽造品の問題が悪化していることに懸念を示した。
一方、欧州連合(EU)が、産地名を知財と位置付けて保護する「地理的表示(GI)」制度を強化していることに、「強い懸念」を表明した。GI導入が広がれば、米国の乳製品メーカーが、イタリアの地名に由来する「パルメザンチーズ」の名称を商品に使えなくなるなど、影響が出る。そのため、報告書は、米産品の輸出に「障壁を課す」ものだと問題視した。
優先監視国は中印のほかにロシア、インドネシア、アルゼンチンなど。優先監視国に次ぐ「監視国」にはメキシコやカナダ、タイ、ベトナム、トルコなど23カ国を指定した。
報告書は米通商法スペシャル301条(知的財産権の保護条項)を根拠にしてUSTRが毎年春に公表している。
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