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Thursday, July 15, 2021

保守強硬派のイラン新政権 核開発加速の見通し 合意締結6年 再建協議は難航必至 - 東京新聞

 【カイロ=蜘手美鶴】イランが核開発を制限する見返りに経済制裁を解除した「イラン核合意」は、14日で締結から6年を迎えた。イランの核武装阻止を目指した合意は、2018年の米国の合意離脱により、イランが逆に核開発を加速させる危機的な事態を招いている。合意再建に向けて米イランの間接協議が続くが、8月初旬には核開発を推進する保守強硬派のライシ政権が発足するため、協議の難航は必至の状況だ。

14日、テヘランで開かれた閣議で発言するロウハニ大統領=イラン大統領府提供、AP

14日、テヘランで開かれた閣議で発言するロウハニ大統領=イラン大統領府提供、AP

◆トランプ前政権から続く緊張

 「再建協議妥結のチャンスは、この政権から奪われた。次期政権が仕事を終わらせるよう願う」。AFP通信によると、イランのロウハニ大統領は14日の閣議でこう発言。核合意を結んだ穏健派の当事者として任期中の合意再建を目指したが、断念する形となった。

 米国の合意離脱以降、イランを巡る緊張は一気に高まった。トランプ前政権は経済制裁を再開し、テロ支援や人権問題を理由に幅広い分野に制裁範囲を拡大。一方のイランは核開発を再開させ、今年4月には合意前の水準を大幅に上回る濃縮度60%超のウラン製造に踏み切り、核開発抑制とは程遠い状況となっている。

◆ライシ次期大統領「米の全制裁解除が先」

 4月からは、核合意当事国と欧州連合(EU)の仲介で米イランの間接協議が続くが、複雑に適用されている米制裁の解除は、容易でないのが現状だ。各国は欧米協調路線のロウハニ政権下での妥結を目指したが、時間切れとなった。

 核合意再建について次期大統領のライシ師は「米国が全制裁を解除するのが先」との立場を取る。協議は引き継ぐが、イランにミサイル開発の停止や中東地域での工作活動縮小などを求める米国の要求は受け入れないとみられる。

 イランは米国が全制裁を解除すればウラン濃縮度を核合意で定めた3.67%に下げ、ウラン濃縮のための遠心分離機も最新型から旧型に戻す意向を示している。しかし、タンタ大(エジプト)のメドハット・ハンマード教授は「ライシ師が大統領のうちは1センチたりとも協議での妥協はないだろう。時間がかかるのは必至だ」と指摘する。

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