山形県産のぶどう酒(ワイン)のブランド価値が国に認められた。特定品種の県産ブドウのみを原料にして、決められた製法を守ることが条件だ。県内のワイナリーは県産ワインのブランド力の向上にさらに努め、輸出にも意欲を見せている。
ぶどう酒(ワイン)の「地理的表示(GI)」として、「山形」が指定された。国税庁が6月30日付で発表。GI保護制度は、産地と結びついた特徴のある商品であることを示し、その価値を保護する。地域の共有財産として産品の名称が保護され、不正使用に対しては行政が取り締まる。
国内のワイン産地では「山形」と同時に「大阪」と「長野」もGIとして指定。従来の「山梨」と「北海道」を含めて計5道府県となった。
山形県内17のワイナリーでつくる県ワイン酒造組合によると、県産の白ワインは花やかんきつ系の香りの中にブドウ由来のアロマが感じられ、豊かな酸の余韻がさわやかなのが特長。赤ワインはブドウのアロマと熟成した香りが調和し、爽やかな酸味と穏やかな渋みを有しているという。
県内のブドウ栽培地では、1980年ごろから高品質のワイン用品種の生産に取り組んできた。平地と山地の中間地域の傾斜地で水はけが良い上、生育期の日照時間、気温、降水量などの気象条件がそろい、有機酸を含んだブドウを収穫できる。
「山形」と表示できるワインの原料は県内で収穫されたブドウのみで、デラウェアやメルローなど51の指定品種に限られる。アルコール度数7・0以上20度未満も条件となる。
組合によると、年間約2200トンの県産ブドウを原料に約1500キロリットルを生産。だが、輸出量はわずかにとどまっている。
組合は2016年に日本酒のGIとして「山形」が指定されたのを契機に、ワインのGI指定に向けて検討を重ねてきた。コルク栓を模した円の内側に、ワイングラスのフォルムでGとIの文字を表した独自のロゴマークも作った。
海外のワインのGIはフランスの「ボルドー」が有名だ。国内も含め、ワインのブランドをめぐる産地間の競争が激しさを増しそうだ。組合理事長の村上健・高畠ワイナリー社長は「国際的にも『山形』が認知されるよう、ワインの品質向上に一層努め、農業の安定化にもつなげていきたい」と意気込む。
県内のGIは日本酒以降、米沢牛、東根さくらんぼ、山形セルリー、小笹うるい、山形ラ・フランスと続き、ワインが7品目となった。(辻岡大助)
からの記事と詳細 ( 県産ワインが「山形」ブランドに 地理的表示保護で指定 - 朝日新聞デジタル )
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