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Tuesday, August 3, 2021

【東京五輪】 ベラルーシ女子陸上選手、ポーランド亡命 IOCは正式調査着手 - BBCニュース

Outside polish embassy

画像提供, Reuters

東京オリンピックに出場した東欧ベラルーシの女子陸上選手が1日、代表チームの運営について不満を公言した後、コーチらに強制帰国させられそうになり、帰国を拒否した問題で、ポーランド政府は2日、選手に人道査証(ビザ)を発行した。国際オリンピック委員会(IOC)は3日、正式調査に着手したと明らかにした。

ポーランドのマルチン・プシダチ外務次官は、ベラルーシのクリスティナ・ティマノフスカヤ選手(24)が東京でポーランド外交官たちと直接やりとりをしており、ポーランド政府は選手が「スポーツ選手としてのキャリアを続けられるよう必要なことはなんでもする」用意があると話した。

ティマノフスカヤ選手の支援者によると、同選手は4日にも日本を出国する見通し。

同選手の夫のアルセニー・ズダネヴィッチ氏はすでに、ウクライナの首都キーウ(キエフ)へ脱出している。AFP通信に対して、「近い将来」ポーランドで妻と再会したいと話した。ズダネヴィッチ氏はBBCに対して、妻の精神状態は「正常」だと述べ、帰国させようとしたのは選手の精神状態が理由だったとするベラルーシ代表チーム側の説明を否定している。

ズダネヴィッチ氏はさらに、自分たち夫妻は政治にかかわったことがなく、刑事罰を受けないのならベラルーシに戻りたいとも話した。

国際オリンピック委員会(IOC)のマーク・アダムス広報担当は3日、ベラルーシ代表チームが選手を強制帰国させようとした疑いについて、正式調査を開始したと明らかにした。「事実関係を全面的に把握する必要があり、それには時間がかかる。その間、我々はまず何より選手のことを気にかけている」と話した。

欧米の反応

Krystina Timanovskaya walks with her luggage inside the Polish embassy in Tokyo

画像提供, Getty Images

欧州連合(EU)はポーランドの判断を歓迎している。ジョセップ・ボレル外交安全保障上級代表(外相)の報道官は、ベラルーシがティマノフスカヤ選手を強制帰国させようとしたのは「ルカシェンコ政権の残虐さのあらわれ」だと非難。ナビラ・マスラリ報道官はロイター通信に、「私たちはクリスティナ・ティマノフスカヤに全面的に連帯し、支援を申し出たEU加盟各国をたたえる。ポーランドが人道ビザを提供したことを歓迎する」と話した。

アントニー・ブリンケン米国務長官はツイッターで2日夜、「ルカシェンコ独裁政権はまたしても、超国家的な弾圧行為を行おうとした。オリンピック選手クリスティナ・ティマノフスカヤが表現の自由を行使したことだけを理由に、強制出国させようとした。そのような行為は五輪精神に違反し、基本的人権を侮辱するもので、容認できない」と書いた。

家族を心配

これに先立ち、ベラルーシ・スポーツ連帯基金(BSSF)はBBCに対して、ティマノフスカヤ選手はポーランドへの亡命を希望していると話していた。

BSSFは、ベラルーシのルカシェンコ政権に抗議するなど政治的意見などを理由に刑務所に収監されたり、不利な扱いを受けたりしているスポーツ選手を支援するため、昨年設立された団体。

ただし、BSSFのアナトル・コタウ氏は2日、ティマノフスカヤ選手がベラルーシに残る家族を心配しているとBBCに述べていた。

ベラルーシでは昨年8月、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領が6選を決めたことに、多くの国民が不正だと強く反発し、国内で大規模な抗議が起きた。IOCは今年3月、NOCに対して、抗議デモに参加したアスリートたちを保護しなかったことを理由に、大統領の長男の会長就任などを認めないなど、処分を科している。

ベラルーシの代表チームは、ティマノフスカヤ選手の出場を取り消したのは精神状態が理由だとしている。

ベラルーシでは1994年から続くルカシェンコ政権が、反体制派を厳しく取り締まっている。

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ルカシェンコ大統領の6選に反発した全国的なデモには、多くのアスリートも参加した。その後、代表選手になれるだけの技量をもつ優秀な選手たちが、訓練費用を絶たれ、代表チームから外され、拘束される事態になった。

今年5月には政権に批判的なジャーナリストが乗る旅客機がベラルーシに強制着陸させられ、ジャーナリストは拘束された。

空港で保護求め

Krystina Timanovskaya's Olympics accreditation card

画像提供, Reuters

ティマノフスカヤ選手は1日、自分が代表チームの運営のずさんさについてインスタグラムで発言したことを理由にチーム幹部に強制帰国させられそうになったとして、帰国を拒否。空港警察に保護を求め、出国便に搭乗しなかった。その後、欧州の他の国への亡命を希望しているとされ、チェコとポーランドが、査証(ビザ)を交付するなどして保護する用意があると申し出た。

ティマノフスカヤ選手は警視庁の保護のもと、羽田空港近くのホテルで夜を過ごし、翌日午後に都内のポーランド大使館に入った。

いきなり部屋に

Krystsina Tsimanouskaya surrounded by police

画像提供, Reuters

ティマノフスカヤ選手は、2日の女子200メートル走に出場する予定だった。

しかし、ロイター通信に対して、代表チームのコーチたちが1日に自分の部屋にやってきて、1時間で荷造りをするよう指示し、自分を空港に連れてきたのだと話した。

同選手は1日夜、羽田空港に着くと、搭乗予約のあったトルコ・イスタンブール行きの便に乗らずに済むよう、空港警察に保護を求めたという。

日本の警官に囲まれた選手は「大丈夫だと思う、警察と一緒にいる」と話していた。選手はその後、羽田空港を管轄する警視庁の東京空港署に保護された。

ティマノフスカヤ選手はその後、IOCの介入を要求。BSSFがメッセージアプリ「テレグラム」に持つチャンネルに投稿した動画で、「彼らは私の同意なく私を日本から連れ出そうとしている。この件についてIOCに関与してもらいたい」と訴えた。

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「いかにずさんか」

ティマノフスカヤ選手は7月末、インスタグラムに動画を投稿。一部の選手に出場資格がないことが分かり、5日に予定される400メートルリレーに出場するよう急きょ指示されたのだと話していた。

この動画が掲載された後、ベラルーシの国営メディアはティマノフスカヤ選手を批判。国営テレビONTは、選手に「チーム精神」が欠けていると非難した。

ティマノフスカヤ選手はロイター通信に、「チームのコーチたちがいかにずさんかインスタグラムで話した」せいで、チームから外されたのだと話した。

一方、ベラルーシ・オリンピック委員会は、ティマノフスカヤ選手をチームから外したのは「感情や精神の状態」が理由だと発表。200メートル走と400メートルリレーの出場は取り消すと説明していた。

欧州に亡命希望

ティマノウスカヤ選手が空港にいる様子を詳しく伝えたベラルーシの反体制派メディア「ネフタ」のタデウシュ・ギチャン記者はツイッターで、「ベラルーシ代表チームの管理体制を彼女が7月30日に批判すると、独裁政権側のメディアは『お前は国の恥だ』という中傷キャンペーンを開始した。今となってはベラルーシに帰国するのが怖いと(ティマノフスカヤ選手は)話しているが、チーム関係者が無理やり彼女を東京の空港へ連れて行った」とツイートしていた

記者は、「大事なのは、ティマノフスカヤ選手が独裁政権の批判を特にしていないという点だ。単に、ベラルーシ・チームの関係者が書類手続きを誤って、何の訓練もしていない競技に彼女を登録してしまったと不満を口にしただけだ。それなのに独裁体制の国営メディアは彼女を国家の敵に仕立てあげた」と書いている。

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