長崎県などのカネミ油症被害者と国、原因企業カネミ倉庫(北九州市)による第17回3者協議が31日、オンライン形式(非公開)であり、救済策のない次世代被害者(油症患者の子や孫ら)の健康状態などを把握する調査の実施に関して正式合意した。記者会見した各地の被害者団体代表らは、調査協力する考えを示しつつ、親として油症の次世代影響や調査についてわが子にどう伝えるべきかといった葛藤を吐露した。 被害者が油症のことを子や孫に伝えていないケースは少なくない。会見した被害者の一人は、娘に結婚を約束した人がいたが突然破談になったことに触れ、「(父親の)私がカネミの被害者だと(相手が)知ったからではないか」と打ち明けた。また「次世代影響について(娘は)知らない。調査に協力させるかどうか決めかねている」と複雑な思いを語った。 高校生と大学生の息子を持つ別の男性被害者は「調査のことは話そうと思うが、どのように伝えるか。妻と相談したい」。別の女性被害者は、息子が既に調査に協力する意向と言い、「(健康被害に)思い当たる節があると息子は話している」と述べた。 カネミ油症被害者五島市の会の旭梶山英臣会長は「次世代救済に向けて(親らに)協力してもらうよう努力したい」とした。 次世代調査は、全国油症治療研究班(事務局・九州大)が実施。健康状態などを把握し、診断基準の見直しなど救済に向けた医学的根拠を積み上げたい考え。自覚症状などを問う調査票と同意書を8月中に全国の認定患者に送付し、子や孫に渡してもらう。10月末の回収、来年1月の中間報告を目指す。
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