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Sunday, September 19, 2021

社説(9/20):野党の共通政策合意/実現への道筋 示す論戦を - 河北新報オンライン

 次期衆院選に向け、野党間で連携、協力の動きが活発化している。立憲民主、共産、社民、れいわ新選組の野党4党が共通政策に合意し、消費税減税や原発のない脱炭素社会の追求などを掲げた。
 4党の合意は、安全保障関連法の廃止を訴える「市民連合」の政策提言に各党首が署名する形で表明された。事実上「次の首相」選びとなる自民党総裁選の陰で埋没しないよう、国民への発信に工夫を凝らしているのが分かる。
 巨大与党に対抗し、政権の選択肢として存在感を示せるかどうか。政策を具体的に練り上げ、実現への道筋についても責任をもって説明する姿勢が問われる。
 共通政策には(1)格差と貧困の是正(2)科学的知見に基づく新型コロナウイルス対策の強化(3)コロナ禍に乗じた「憲法改悪」への反対(4)森友・加計学園問題、桜を見る会問題の真相究明(5)選択的夫婦別姓の実現-などを列記した。
 まずは自民党との違いを鮮明に打ち出す狙いなのだろうが、消費税減税や米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設中止など、不用意に踏み込めば大きな混乱を引き起こしかねないテーマも目立つ。
 実現に向けた明確な行程や戦略に加え、実現した場合の副作用を最小限にとどめる対策なども併せて明らかにしなければ、国民の広い支持は得られまい。
 共同通信による今月初旬の世論調査では、菅内閣の支持率は30・1%となり、2012年の政権奪還以降で最低を更新した。だが、政党支持率は自民46・0%に対し、野党第1党の立民は12・3%、共産3・6%、社民0・9%、れいわ0・8%と、大きく水をあけられている。
 さらに今回の合意には、共産との連携に慎重な国民民主党が参加していないことも影を落とす。国民内で脱原発に異論が出たためだという。このままでは立民、国民両党を支持する連合の動きが制約され、衆院選で力強い共闘が実現するかどうか心もとない。
 新たなリーダーの下で衆院選に臨む自民党は、疑似的に政治の「刷新」を演出できる。第2次安倍晋三政権から菅義偉政権までの約8年8カ月間に蓄積された国民の不満を受け止めるには、やはり幅広い結集が不可欠だ。
 野党共闘は「1強」に対峙(たいじ)していく上で、一定の成果を積み上げてきた。19年参院選では32の改選1人区で候補を一本化。岩手、宮城、秋田、山形の東北4選挙区を含む10選挙区で勝利した。今春の衆参3選挙、先月の横浜市長選でも野党が連勝している。
 政権交代が期待しにくい状況であっても、与野党の論戦には多様化した社会の要求をどう集約し、政策に反映させるかを方向付ける役割が期待されている。「敵失」頼みから抜け出した野党の姿を、選挙戦でぜひ見せてほしい。

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