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Saturday, September 11, 2021

親が感染したら乳幼児の世話どうすればいい? 「両立は困難」と一家全員感染の男性が苦境吐露 - 東京新聞

 新型コロナウイルスの家庭内感染が増加する中、幼子を抱える保護者が発症したら、誰が子どもの世話をするかが課題となっている。政府は親族が世話することを基本としつつ、児童相談所での保護なども想定するが、親族頼みには限界があり、託児施設の受け入れ態勢も不十分。入院待機が常態化し、症状に苦しみながら子どもの世話を続ける親が多いとみられ、支援態勢の充実が急がれる。(大野暢子)

乳幼児を含む一家全員が新型コロナウイルスに感染し、闘病生活を記録したメモを手にする男性=東京都内で

乳幼児を含む一家全員が新型コロナウイルスに感染し、闘病生活を記録したメモを手にする男性=東京都内で

 東京都内の自営業男性(46)は8月、自身と妻(42)、長男(8つ)、7カ月の次男の一家4人全員が相次いで陽性となった際、次男の預け先が見つからなかった。男性は中等症と診断されて入院できたが、妻と次男は軽症で自宅待機となった。ワクチンは未接種だった。

◆親族に頼れと言われても…矛盾

 長男は高齢の親族にやむなく預けたが、乳児の次男を託すことはできなかった。妻と次男が一緒に過ごせる病院や施設は見つけられず、保健所を通じて子の保護を頼んだ児童相談所や公共の託児サービスも軒並み断られた。妻は5日間、高熱や腹痛に耐えつつ、発熱して泣き叫ぶ次男の世話を続けた。

 男性は「濃厚接触者や感染者に外部と接触しないよう求めながら、親族に頼れというのは矛盾と感じた」と指摘。「軽症でも乳児の世話と療養の両立は困難。感染を家族以外に広げないためにも、親子入院を保証し、それが無理なら子だけでも保護して」と訴える。

 厚生労働省は昨年4月、保護者が陽性になった場合、子どもが陰性なら自宅待機が基本との見解を都道府県への事務連絡で示した。一義的には親族間の対応になる。養育する人がいないときは児童相談所が一時保護所で受け入れたり、保護者の入院先の医療機関に子の保護を委託したりすることも想定されるとした。

 東京都家庭支援課によると、養育者がいない子どもの預け先などの調整対象となった事例は7月末時点で220件。感染者の急増で医療体制が逼迫し、思い通りに支援を受けられない人も少なくない。

 厚労省コロナ対策本部の担当者は「児童相談所の一時保護は原則、陰性の児童に限られる」とした上で、陽性の乳幼児がどこで療養するかは個別事情で異なると説明。現在の医療体制を踏まえれば「乳幼児を含む一家全員が感染し、自宅で過ごすこともあり得る」との認識を示す。

 対応に乗り出している自治体もある。東京都港区は昨年、親の感染で養育が困難になった生後半年以上18歳未満の子を保護する施設を開設。ホテルの3室を借り上げ、保育士が24時間常駐し、これまで20人以上を受け入れてきた。ただ、陰性が条件で、担当者は「一家全員が感染していたら、受け入れられない」と説明した。

◆血縁頼みは無理、国が居場所づくりに責任を

淑徳大の稲垣美加子教授(児童・家庭福祉)の話 小さな子がいる家庭は誰かがコロナに感染した途端、公的な支援なしには立ち行かなくなる。核家族化で親族関係が希薄になり、晩婚化で祖父母世代が高齢となる中、血縁関係に頼るのは無理がある。児童相談所の一時保護所は健康上のリスクがある児童も受け入れ、共用部分も多く、感染の疑いがある児童と一緒に過ごすことはリスクがある。国は児相に任せる以上、ハード面も含む受け入れ態勢をつくるべきだ。入院が難しい場合、看護師や保健師らの支援を受けながら親子滞在できる宿泊療養施設を充実させてほしい。

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