[ジュネーブ 28日 ロイター] - 世界保健機関(WHO)加盟国は、パンデミック(感染症の世界的流行)の予防に関する将来的な協定に向けて交渉に入ることで暫定合意した。欧州連合(EU)と米国との間にあった意見の相違をひとまず解消した格好。外交関係者が28日、明らかにした。
29日から3日間の日程で開かれるWHO総会に決議案が提示され、加盟国の保健相が採択する見通し。
EUや英国、その他約70カ国は法的拘束力のある協定の締結を訴えてきたが、米国やブラジル、インドは拘束力のある協定に難色を示してきた。
しかし、南アフリカで最初に見つかり、感染が急拡大している新型コロナウイルスの新たな変異株オミクロン株への懸念が強まる中で、交渉が急展開した。
パンデミックの予防と対策強化に向けた国際協定は、新たに出現したウイルスのデータやゲノム配列の共有のほか、潜在的なワクチンや治療薬の研究データ共有が含まれるとみられる。24年5月までの整備が見込まれている。
英国のマンリー・駐ジュネーブ国連機関大使は「将来的なパンデミック協定に向けた交渉枠組み設置の決定は単なる始まりかもしれないが、柔軟性と幅広い支持が伴う決定だったということは、今後の取り組みへの良い兆しだ」と語った。
欧州の外交関係者は「文言について合意がまとまったことに、われわれは非常に満足している」と述べた。
決議案は、WHOのウェブサイトに掲載された。
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