児童虐待防止、早期発見につなげようと、県警と県児童相談センターは津市高茶屋の県警察学校で合同訓練を行った。県内の児童相談所での昨年の相談対応件数は2315件と過去最多を更新。訓練には警察官や児相職員ら54人が参加し、模擬家屋を舞台に虐待の疑いがある家庭を訪ねて、子どもを保護する手順を確認した。
「うちの子に近づかないで、コロナがうつる!」。職員たちの訪問に母親が大声を上げた。「赤ちゃんが嫌がってるじゃない」と職員が母親の隣に座り、「大丈夫、大丈夫」と落ち着かせた。「おけががないか見たいんです」「体重を量らせてください」などと説得し、母親が赤ちゃんを離したタイミングを見て無事、保護した。
今月9日にあった合同訓練。生後6か月の赤ちゃんへの虐待が疑われるため、児相が県警に援助要請し、ともに一時保護へ動くとの想定で行われた。
警察官と児相職員らは3班に分かれ、任意で家の中を調べる「立ち入り調査」と、裁判所の許可を得て強制的に調べる「臨検・捜索」の2種類を訓練した。
立ち入り調査では、「誰や、帰れ!」と玄関を開けようとしない父親役に、「元気か確認するだけ」など説得を試み、家の中へ入った。興奮して暴れる父親役を公務執行妨害容疑で現行犯逮捕するなどした。
臨検・捜索では、調査を拒む両親に許可状を示し、ドアチェーンを壊すなどして強制的に男児を保護した。
参加した児相職員は「保護者が暴力的になることは時々あり、警察官が同行してくれると安全に子どもたちを保護できる」と話した。
県警の山崎正法・人身安全対策課長は「コロナ禍で家庭内の出来事が見えにくくなっている。児相とより一層連携して虐待事案を発見し、児童の安全を守っていきたい」と述べた。
県によると、県内の6児相が昨年度に対応した虐待の相談件数は前年度比86件増の2315件で、2015年から6年連続で過去最多を更新。立ち入り調査は2件(前年度0件)だった。
未就学児から高校生までの各世代で増えており、新型コロナウイルスによる休校の影響とみられる。相談種別では、最多は目の前で親同士や親族が暴力を振るう「面前DV」などの「心理的虐待」の1202件(前年度比141件増)で半数を占めた。続いて、「身体的虐待」647件(同42件減)、「保護の怠慢・拒否(ネグレクト)」435件(同5件減)などと続いた。
相談が増加している背景には、県警からの「通告」の増加もある。昨年度は745件で前年度から162件増えた。その理由について、脇田委子・同センター児童相談強化支援室長は「面前DVで、身体的な虐待ではなくても子どもたちは心に深い傷を負う。これら心理的虐待を児相に通報するようになってきた」と分析している。
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