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Tuesday, February 8, 2022

自律型兵器システムをめぐるICRCの見解 - 赤十字国際委員会

自律型兵器システムに対するICRCの懸念

自律型兵器システムは、人間の介在なしに標的を選択し、力を行使する。人間が最初に起動した後、センサーが感知した状況からもたらされた情報や、一般化された「ターゲット・プロファイル」に基づいて、自律型兵器システムが自ら攻撃を開始したり、引き金を引いたりする。よって、当該システムを使用する者は、特定の標的に加えて、結果として力が行使される正確なタイミングや場所に関して、選ぶこともしなければ、関知しないことを意味する。

自律型兵器システムの使用は、その効果を予測し制限することが困難であるためリスクを伴う。武力や武器の使用において、人間による制御や判断が失われることは、人道的、法的、倫理的な観点から重大な懸念をもたらす。

自律型兵器システムが機能する過程をみると、

  • 武力紛争の影響を受けた人々(民間人と戦闘員の双方)に危害を加え、紛争の拡大につながる危険性がある。
  • 国際人道法、特に敵対行為の実施において民間人を保護するための規則、を含む国際法の遵守に関する課題を提起する。
  • 生死に関わる判断が、人間ではなくセンサーやソフトウェア、機械の工程により下されることで、人類にとって根本的な倫理上の懸念を提起する。
  • 自律型兵器システムの規制に関するICRCの各国への提言

    赤十字国際委員会(ICRC)は2015年以降、民間人の保護や国際人道法の遵守、倫理上の妥当性を徹底するため、国際的に合意された制限を自律型兵器システムに設けるよう各国に求めている。

    リスクに対処するべく、国際的な制限を自律型兵器システムに設けようとしている昨今の取り組みを支援するにあたり、各国が法的拘束力のある新たな規則を採択することをICRCは推奨する。特に、

      1 予測不可能な自律型兵器システムは、とりわけ影響を無差別に及ぼすことから、明確に排除されるべきである。よって、その影響の把握や予測、説明が十分なされないまま設計または使用される自律型兵器システムを禁止することが最善である。
      2 人類を守るための倫理上の配慮に加え、民間人や戦闘能力を失った戦闘員を保護するための国際人道法の規則を守るために、人間を標的に自律型兵器システムを使用することは認めるべきではない。よって、人間に向けて力を行使する目的で設計あるいは使用される自律型兵器システムを禁止することが最善である。
      3 民間人および民用物を保護し、国際人道法の規則を擁護し、人類を守るため、自律型兵器システムの設計および使用は、禁止されないまでも、規制されるべきである。そうした規制は、以下の要素を組み合わせることで実施できる。
  • 標的の種類を制限:本質的に軍事目標である対象物に限定するなど
  • 使用する期間や地理的範囲、使用規模を制限:特定の攻撃に関して人間の判断と制御を可能にすることも含む
  • 使用状況を制限:民間人や民用物が存在しない状況での使用に限定するなど
  • 人間と機械が相互作用するための必要条件:とりわけ、人間による効果的な監視や、適切なタイミングでの介入と作動停止を徹底するため
  • ICRCは、自律型兵器システムに国際的な制限を設けるべく取り組んでいる各国のイニシアチブを支援する。こうしたイニシアチブは、武器や兵器がもたらす懸念に効果的に対処することを目的としており、これまでは特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)において、規範の枠組みや運用体制の面で合意を取り付けようと奮闘がみられた。自律型兵器システムの技術と使用にまつわる発展のスピードを踏まえると、国際的に合意された制限を適切なタイミングで確立することが不可欠だ。そうした制限は、新たな法的ルールの範囲を超えて、共通の政策基準や実践規範のガイダンスなどに及ぶ場合もあり、補完的で相互に補強し合う形となりうる。目標の達成に向けて、ICRCはその権限と専門性の範囲内で、政府や軍隊、科学技術界、産業界の代表者を含む国際・国内レベルの関係者と、協力して取り組んでいく準備ができている。

    ジュネーブ、2021年5月12日

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