英国政府は5月26日、生活費の上昇への家計の対応を支援するために国内の数百万世帯に総額150億ポンド超(約2兆4,000億円、1ポンド=約160円)を追加する、新たな生活支援パッケージを発表した。発表済みの220億ポンドの生活費支援と合わせると、370億ポンド超に上る。リシ・スーナック財務相の同日の声明によると、英国では過去40年間で最も高いインフレ率となっている(2022年5月19日記事参照)。
政府は2月に消費者を保護するために10月から全世帯の光熱費を200ポンド割り引いて、2023年から分割で消費者から回収するとしていたが(2022年2月7日記事参照)、同パッケージではこれを1世帯当たりの割引額を400ポンドへ倍増し(注1)、返済要件を廃止するとした。
低所得者向け社会保障給付(ユニバーサル・クレジット)の対象世帯に対して、650ポンドを7月と秋の2回に分け支給する。また、冬季燃料代支援の対象である800万超の年金受給者世帯には、300ポンドを11月または12月に支給する。さらに、障害給付金の対象である約600万人に対しては、150ポンドを9月に支給する。
政府は、地方自治政府により管理されている「家計支援基金」も2023年3月まで延長し、同基金に追加で5億ポンドを提供するとしている。
同パッケージの支援金の一部は、英国で操業する石油・ガス会社の利益に対し、25%の税率で課税し、12カ月で約50億ポンドを徴収する予定。この課税は一時的なものであり、石油・ガス価格が正常な水準に戻れば、段階的に廃止するとしている。政府は近く同税を法制化する法案を提出する。
エネルギー価格上限は10月から846ポンド増の見込み
英国のガス・電力市場局(Ofgem)は5月24日、政府の支援策の検討などに役立てるために、5月18日時点の見積もりでは、10月に見直す予定のエネルギー価格上限(注2)は2,817ポンドとなると公表(添付資料図参照)。4月1日以降適用されている1,971ポンドからさらに846ポンド増となり、2021年10月~2022年3月期の2倍超となる。Ofgemは、同公表は10月から適用される価格上限を正確に予測するものではないとし、同価格上限は8月に正式に発表するとしている。
(注1)2022年10月~2023年3月が対象。
(注2)標準的な家庭のガス・電気使用量の年間価格上限。
(宮口祐貴)
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