アメリカのカリフォルニア州の裁判所で、昆虫の蜂を魚類と認定する異例の判決が下された。その理由は保護する為である。
同州の複数の環境団体が、近年個体数が激減している、ミツバチの一種「マルハナバチ」の保護を州に訴えたところ、同州の絶滅危惧種法(CESA)の保護対象には昆虫類が含まれておらず、農業団体に訴えられたのだ。
環境団体はその訴えを控訴したところ、マルハナバチは水生の無脊椎動物が含まれる「魚」と同様、陸生の無脊椎動物であるとして、保護対象として認可が下りた。
【画像】 マルハナバチの保護を巡って環境団体と農業関係者が対立
5月30日、カリフォルニア州控訴裁判所は、ミツバチ科マルハナバチを魚として分類するという判決を下した。
事の発端は2019年のこと。個体数が激減し、絶滅の危機に瀕しているマルハナバチを、カリフォルニア野生動物保護局『Fish and Game Commission』が絶滅危惧種に分類したことだ。
しかしその翌年、農業関係者グループは、「カリフォルニア絶滅危惧種法(CESA)の対象として認定されるのは、鳥類、両生類、爬虫類、魚類、哺乳類、植物のみであり、昆虫である蜂は指定できない」と蜂をリストから除外するよう訴えた。
マルハナバチが個体数を減少させた理由の1つに、農薬散布の影響が指摘されていた。もしリストに入れられると、農薬の使用が困難となってしまう懸念があったようだ。
カリフォルニア州裁判所、マルハナバチを魚類と認定
しかし、各環境保護団体はこの判決に納得せず控訴した。その結果、マルハナバチを「無脊椎動物」という観点で魚類と同類であるとみなし、CESAの対象に含むとする判決を下した。
カリフォルニア州控訴裁判所のロナルド・ロビー准判事は、CESAのリストに含まれている「魚類」を引き合いに出しこう述べている。
一般的に魚は水生動物とされていますが、法律では限定されていません。カリフォルニア州漁業狩猟法で定められている「魚類」は、軟体生物、甲殻類、無脊椎動物が含まれると定義されており、ハチはと陸生の無脊椎動物と解釈できます。州議会ではこれまで、少なくとも1つの陸生軟体動物の登録をすでに承認しており、マルハナバチは陸生無脊椎動物として絶滅危惧種に指定することができると判断します
1970年代に定められたCESAでは無脊椎動物は「魚類」含まれると明示的に定義しており、その後カタツムリなどの非水生無脊椎動物も魚のカテゴリーに絶滅危惧種として加えられていたのだ。
そのため、今回も絶滅の危機に瀕する陸生の無脊椎動物のマルハナバチも同類として認めることがきる、と判断したようだ。
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4種のマルハナバチが法の下保護されることに
この判決によって、4種のマルハナバチが法のもとで魚と分類され、絶滅危惧種または危急種として認められることになった。
以降、カリフォルニア州ではマルハナバチおよびその他の陸生無脊椎動物が、「魚類」として絶滅危惧種法によって保護できるようだ。
References:California court classifies bees as fish under endangered species law - UPI.com/ written by Scarlet / edited by / parumo
追記(2022/06/07)本文を一部修正して再送します。
からの記事と詳細 ( マルハナバチは「魚」です。昆虫を保護対象にするため、苦肉の判決 - ニコニコニュース )
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