2022年10月31日07時08分
【ベルリン時事】ドイツで、交通やエネルギー供給を担うインフラを破壊工作からどう保護するかが、喫緊の課題となっている。パイプラインなどが被害に遭い、目に見える形で市民生活への影響が出始めているためだ。政府も対策を強化する方針だが、インフラをくまなく保護するのは困難との見方も強い。
ロシアのパイプライン損傷、爆発も ガス漏れ、破壊工作の可能性
ロシアからドイツに天然ガスを運ぶバルト海のパイプライン「ノルドストリーム」が9月、爆破され大量のガス漏れが発生した。スウェーデンのメディアが専門家と協力し撮影した映像で、水深約80メートルの海底を走るパイプラインが、約50メートルにわたり損傷していることが確認された。
実行した主体は不明で、欧米への対決姿勢を強めるロシアも関与を否定している。ただ、独連邦情報局のハニング元長官は、規模や必要とされる技術の程度から「国家が関わっているのは明らかだ」と指摘する。
交通網も狙われた。今月8日、何者かがコンクリートで覆われた国営ドイツ鉄道の光ファイバーケーブルを2カ所で切断。通信障害が発生し、約3時間にわたり北部ドイツ全域で鉄道網がほぼまひした。連邦検察庁は、破壊工作の疑いで捜査に着手した。
ロシア軍がウクライナ侵攻でインフラを攻撃対象にしていることもあり、独国民の不安は増大している。政府は年内に重要インフラ保護の改善策をまとめる方針だ。
インフラの危機管理を研究するケルン工科大のフェケテ教授は「総延長3万8000キロに及ぶ鉄道網や、海底パイプライン全体を監視するのは不可能だ」と指摘。インフラ網が集中する地点を特定して重点的に保護することで、一部の機能が失われても全体への影響を抑えることが重要だと話す。
日本の防災にも詳しいフェケテ氏は、日本の現状について「自然災害に関してはドイツより経験があり、訓練や警報など非常に良く整備されている」と分析。一方で、人為的なインフラ攻撃に対しては「残念ながらドイツと同様に脆弱(ぜいじゃく)だろう」と警鐘を鳴らした。
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