150以上の水槽がずらりと並んだ「小さな水族館 びわこベース」が2022年夏、大津市内の琵琶湖岸にできた。琵琶湖の固有種や全国各地の希少生物を展示する。絶滅危惧種を保護する「生息域外保全」にも取り組んでいる。
びわこベースは琵琶湖に近い大津市木戸にある。淡水魚やカエルなど、約200種類の生きものが小さな水槽に展示されている。カエルやゲンゴロウなどは、負担のかからない範囲で水槽から出して触れ合うこともできる。開館は金・土・日と祝日のみにもかかわらず、7月のオープンから約3千人が訪れた。
運営するのは自然写真家の関慎太郎さん(50)。幼い頃から自宅に約70個の水槽を並べて飼育するほど淡水魚が大好きだった。幼少期の夢をかなえ、滋賀県立琵琶湖博物館の開館時から飼育員として勤務した。
その後、京都水族館(京都市下京区)で立ち上げから携わり、7年間副館長として「オオサンショウウオ」や「京の里山ゾーン」など、種の保全をテーマに生きものの生息環境を再現する展示を企画してきた。生態を知り尽くした専門性を生かし、両生類や爬虫(はちゅう)類の図鑑や写真集を手がける自然写真家としても活動している。
希少生物の保全や展示の役割を担うべき水族館や動物園はコロナ禍の影響もあり、収益が減少している。関さんは「小さな水族館だからこそ経費をかけず、地元の生きものを学びながら守れる」と、「淡水魚の宝庫」とされる琵琶湖の目の前に水族館を作った。
びわこベースは、絶滅危惧種を保護する生息域外保全センターの機能も持つ。現在は、倉庫建設により神戸市北部のすみかを奪われた「セトウチサンショウウオ」を一時保護する。生息地を整備した後に現地に戻す。
運営費は、こうした開発企業からの環境保全対策費でまかなう。また、飼育員をめざす大学生らが、生きものの人工授精や飼育、水槽の手入れなどを学びながら運営を手伝っている。
軽トラックに水槽を積み、全国各地を回る出前水族館「みんなで水族館」にも力を入れる。身近な水辺の生きものを知ってもらいたいと、水槽に入れるのは子どもたちと一緒に川で採取した魚だ。
関さんは「生きものを守ろうとする人を色んな地域に増やしたい。地元の生きものを守るベースを全国に作りたい」と話す。
開館は金・土・日と祝日の午前10時~午後5時。入場料は大人(18歳以上)300円。子どもは無料。月1回、学術関係者をゲストにサイエンスカフェも開く。(林利香)
からの記事と詳細 ( 身近な水辺の生きものを守るベース 人気に:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル )
https://ift.tt/pkdbiPl
No comments:
Post a Comment