同性婚を認めない民法や戸籍法の規定は、婚姻の自由などを保障した憲法に違反するとして、愛知県の同性カップルが国に1人100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、名古屋地裁であった。西村修裁判長は現行法の規定について、「同性カップルを保護する枠組みすら与えていないのは国会の立法裁量の範囲を超える」と指摘し、違憲と判断した。原告側の請求は棄却した。
全国5地裁に起こされた同種訴訟では4件目の判決で、違憲判断は札幌に続き2件目。過去3件はいずれも請求を棄却したが、憲法判断は分かれていた。
原告側弁護団は判決後、「国に対する立法措置を直接要求するもので、同性婚の法制化に向けて極めて大きな意義を有する」との声明を発表。違憲性を認める判決が相次いだことで、国会は早急な対応を迫られた形だ。(共同)
◆「司法判断も前に進んでいる」高まる期待
「判決言い渡しの途中から涙が止まらなかった。訴えを裁判所はきちんと受け止めてくれた。『違憲』の流れを、同性婚の法制化へとつなげたい」
同性婚を認めない規定を違憲とした判決を、名古屋地裁で傍聴した小野春さんは、うれしさを隠さない。小野さんは東京の同性婚1次訴訟の原告の1人。昨年11月の東京地裁判決(原告側が控訴)は現状を違憲状態と言うにとどめた。
「今回の判決は違憲と言い切った。司法判断も前に進んでいる」と小野さん。6月23日に東京高裁で始まる控訴審に期待する。
東京2次訴訟の原告、
昨年6月、「合憲」とした大阪地裁判決も法廷で見守った。その後、世論調査では同性婚賛成が多数を占める一方、政府中枢の差別意識が露呈した。そしてこの日の違憲判決。「同性婚を認めるのはまだ早い、といった声は通用しない」。山縣さんは力を込めた。(奥野斐)
◆【解説】司法は当事者に寄り添った 国会で議論を
同性婚を認めない規定は違憲とした30日の名古屋地裁判決は、これまで3件あった同種訴訟の判決と比べ、当事者に最も寄り添った判断をしたと言える。
これまでの明確な違憲判断は2021年3月の札幌地裁判決で、婚姻は異性同士のみとする現行制度が法の下の平等を定めた憲法14条に反するとの論理だった。今回は14条違反に加え、婚姻と家族を巡る法律の在り方をうたう24条2項に違反すると端的に指摘した点が画期的だ。
異性間で法律婚をすれば配偶者控除などの優遇措置などがある。加えて名古屋地裁は法律婚制度を、カップルが「正当な関係として社会的承認を得る有力な手段」と認定した。
ところが、同性カップルはいずれも受けられない。判決は「憲法24条2項で尊重されるべき重要な人格的利益を享受できていない」と現状に異議を唱えた。
また、同性婚の制度を認めても「伝統的な家族観を重視する国民との間でも、共存する道を探ることはできる」と踏み込んだ。
元首相秘書官の差別発言を契機に、性的少数者(LGBTQ)を巡る法整備の機運は高まるが、同性婚の法制化は
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