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Monday, July 3, 2023

野良猫不幸の連鎖を絶つ保護団体のTNR活動に同行 - 読売新聞オンライン

  野良猫を捕獲し、不妊手術をして元の場所に戻す「TNR活動」に、保護団体のNPO法人「あわねこ保育園」(徳島市)が徳島県内各地で取り組んでいる。衛生や栄養面をはじめ過酷な状況で命をつなぐ猫は後を絶たないという。「一匹でも多く助けたい」と園のメンバー。猫が幸せに生きていけるように願う活動に同行させてもらった。(吉田誠一)

 「TNR」はTRAP(つかまえる)、NEUTER(不妊・去勢手術をする)、RETURN(元の場所に戻す)の頭文字を取った活動。手術済みの猫には印として片耳に三角の切り込みが入れられ、残った耳の形が桜の花びらに似ていることから、「さくら猫」と呼ばれる。園のメンバーは約40人で、TNR担当は県内各地に15人ほどいる。

 メンバーで徳島市論田町の久保田香津恵さん(51)は5月27日午後1時頃、同県北島町の住宅街に野良猫が居着いているとの情報を得て、自分の軽乗用車に捕獲かごをいくつも積んで現場に向かった。

 これまでの経験では、かごと毛布を抱え、野良猫が現れそうな場所を探しては、離れて暑い中でもじっと待つ。仕掛けたまま長時間放置することはない。捕まった猫が狭い中で何をされるかと、ずっとおびえるからだ。半日、時には朝から夜まで待つこともあるという。

 まず灰色の雌猫が姿を見せ、久保田さんはそっと近づき、かごの中に香りを放つ餌を置き、姿を隠して聞き耳を立てた。「ガシャン」。かごの入り口が閉まった音で駆けつけ、落ち着かせるためにすぐ毛布をかけ、外を見えなくした。「大丈夫、大丈夫やけんな」。野良猫が何匹もいる場所では、時間や体力が許す限り、これを繰り返す。この日は夜までかかって5匹を保護し、翌日手術を受けさせ、現場に戻した。

 捕獲後は動物病院に連絡し、手術できるまで徳島市のマンションにある園の手狭になった一時保護施設(シェルター)や、メンバーの自宅で一時的に保護する。餌をやるなどして落ち着かせるが、病気やけがをしている場合、手術まで何日も預かったり、捕獲現場に戻せなかったりするケースもあるという。

 久保田さんは6月半ば、JR徳島駅近くの飲食店街でも保護活動をした。居酒屋の店先に姿を見せる母猫以外に子猫も2匹いるようだ。ビル間の隙間に捕獲かごを置いて見守った。母、子を順に保護。動物病院に運んで不妊手術を受けさせた。子猫2匹は新たな飼い主が見つかり、母猫はSNSでもらい手を募集中という。

 24日には園が一斉TNRを実施し、小松島、阿南、三好各市などで計24匹を捕獲し、不妊手術を施した。うち6匹は堕胎も必要だったという。

 メンバーたちは「『人間は怖い』と感じ、現場に戻す際に逃げていけば一安心。でも、なついて離れないと心配」「元の場所に戻すのは受け入れが限界だから。『頑張って生きていきよ』と祈るしかない」――と、つらそうに話す。

 さらに、「カラスやイタチに襲われたり、交通事故に遭ったりと、つらい思いをする野良猫をもう増やしたくない。不幸の連鎖を止めたいんです」。

 あわねこ保育園は保護猫と一般の人が予約なしで触れ合える開放型のシェルターを来春開設しようと、資金をクラウドファンディング(CF)で6月1日から募っており、7月28日の期限まで残り1か月を切った。

 CFには910万円以上(30日現在)が集まったが、施設の内装費をまかなう目標額の1500万円にまだ届いていない。「オール・オア・ナッシング」制の募集のため、1円でも足りなければ不成立で返金される。

 それだけに、メンバーたちは「全国的にも珍しい先進的な保護施設をつくりたい。野良猫たちのため、ぜひ協力を」と呼びかける。支援は「あわねこ保育園 レディーフォー」でネット検索し、応募する。

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