米国ノースカロライナ州のロイ・クーパー知事(民主党)は11月29日、米国環境保護庁(EPA)が化学メーカーのケマーズに与えていた、オランダから同州フェイエットビルへの有機フッ素化合物(PFAS)を含む廃棄物の輸入承認を取り消したと発表した。
PFASは耐熱性、耐水性、耐油性、非粘着性などの特性があり、衣料、食品包装、調理器具、化粧品、電子・電気部品、自動車部品をはじめとする多くの産業や製品に利用されてきた。一方で、PFASが環境や人体に与えるマイナスの影響を理由に、PFASに関する規制の導入やメーカーが製造の中止を表明するといった動きがある(2022年12月22日記事、2023年3月15日記事参照)。
今回、承認が取り消されたのは、PFASの1種であるGenX(注)を含む廃棄物の輸入に関するもの。EPAは9月8日、オランダからフェイエットビルの同社工場へのGenXを含む廃棄物の輸入を12カ月間で2,000トンまで承認したが、クーパー知事は11月3日、書簡をEPAに提出し、この承認の再考および取り消しを強く求めていた。さらに、11月15日には、同州選出の連邦上院のトム・ティリス議員(共和党)、連邦下院のデイビッド・ロウザー議員(共和党)、リチャード・ハドソン議員(共和党)も連名でEPAに書簡を送り、この承認への懸念を訴えていた。
EPAによると、11月13日にケマーズは同州環境品質局(DEQ)に対し書簡を提出し、輸入許可量の算出に誤りがあり、承認された数量は実際の数量の正しい推定ではないと述べ、EPAが条件付きで承認した数量とは10倍もの開きがあることを認めた。これを踏まえ、EPAはケマーズからの当初の申請に含まれていた情報が誤っていたとして、輸入承認を取り消すとともに、同社には危険なPFASを放出してきた歴史があり、公衆衛生と環境を完全に保護する対策を講じる能力があるか懸念していると述べた。
ジェトロはPFAS関連規制などに関するセミナーを複数回開催しており、毎回多くの質問が寄せられるなど、日本企業の関心も高まっている(2023年7月4日記事参照)。
(注)パーフルオロオクタン酸(PFOA)を使用せずに、付着防止コーティングなどに用いられる高性能フルオロポリマーを製造するために用いられる技術の商標名。
(檀野浩規)
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