医療用麻薬「オピオイド」入り鎮痛剤、「オキシコンチン」の中毒問題を巡り、米連邦最高裁判所は27日、米製薬会社 パーデュー・ファーマが60億ドル（約9600億円）を支払うことで決着した和解を無効とした。和解はオピオイド中毒のまん延を促した創業家のサックラー一族を大量の訴訟から保護することと引き換えに、数十億ドルもの資金を中毒者救済に振り向けるものだった。
最高裁判事らは５対４で無効化を決定。和解は資産家のサックラー一族を不当に保護すると判断した。これによってパーデューの将来はあらためて不透明となった。
有害な、もしくは毒性のある製品を巡る訴訟で破産した企業が和解に用いる手法が、今回の判決によって一変する。被害者の大半から支持を得た合意であれば、原告は和解に同意せざるを得なくなるという仕組みだ。米司法省の破産裁判所を監督する部門は、こうしたメカニズムは不法だと主張している。
米連邦議会は数十年前、アスベスト訴訟に関連した企業破産において同様のメカニズムを認めた。この手法は数々の企業不正の解決に有効なアプローチとして、弁護士や判事の間に広がっていった。これまでにカトリック教会やボーイスカウト、米国体操協会に対する一連の訴訟を含め、危険な製品や性的虐待の訴訟で同様の和解が成立している。
故モーティマー・サックラー氏とレイモンド・サックラー氏の遺族は27日、「私たち一族とオピオイド危機については、重大な虚偽の陳述がなされており、それを考慮すればわれわれが将来のいかなる訴訟においても勝訴すると確信している。一方で迅速な交渉による和解で困窮する人々とコミュニティーに多額の資金を与えることが、今後に向けて最善の方法だと引き続き信じている」との声明を発表した。
原題： Supreme Court Ends OxyContin Settlement, Cracking Sackler Shield（抜粋）
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