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Thursday, June 27, 2024

ハイブリッドクラウドのデータ保護を一元管理 手間を削減する近道は? - Fujitsu

コストも手間も掛かっていたデータ保護をクラウド化するメリット

ランサムウェアを筆頭としたサイバー攻撃からの防御は、企業にとって重要な経営課題だ。DR(災害対策)として地震や津波といった自然災害への備えが欠かせない日本企業は、以前から重要なデータを保護するための対策を実施してきた。

ただし従来型のデータ保護製品は、一部の重要なデータを保護するための高価なものであり、企業が簡単に導入できるとは限らない。データ保護の基本的な考え方は、大地震や津波といった広範囲に被害を及ぼす災害に備えて遠隔地にバックアップサイトを構え、常時データを同期するというものだ。だがこの手法はデータセンターを丸ごと二重化する形なので、コストも倍近く掛かってしまう。予算や地理的な制約のため、そもそも遠隔地のバックアップサイトの運用管理が難しい場合もある。

クラウドを活用したバックアップ/リカバリーシステムの構築は、こうした課題を解消し得る手段の一つだ。バックアップデータをクラウドに保存しておき、万が一の際にはアプリケーションサーバなどのリソースをクラウド内に確保して運用を継続するというアプローチを取る。同等の保護レベルを実現しつつ、平常時に予備のサーバを遊ばせておく無駄を回避できるため、コストの削減が図れる点がメリットだ。

このようなバックアップ/リカバリーシステムを、クラウドの基本的な仕組みを使って企業が自力で実現するには、相当な技術力が求められる。そこで富士通は、クラウドを活用したバックアップ/リカバリーシステムのソリューション(製品およびサービス群)を提供している。

富士通とNetAppのタッグで実現するクラウドBCP

富士通のストレージ製品「ETERNUS」は、企業のニーズに合わせた広範なラインアップを展開している。クラウドを活用した大規模なバックアップ/リカバリーシステムに適するのが、「ETERNUS AX series」または「ETERNUS HX series」と、クラウドにある「Cloud Volumes ONTAP」(CVO)の組み合わせ(以下、ETERNUS AX/HX series×CVO)だ(図)。ETERNUS AX seriesはオールフラッシュストレージ、ETERNUS HX seriesはSSDとHDDのハイブリッドストレージで、いずれもストレージOSとして「ONTAP」を採用している。CVOはONTAPをクラウドで運用可能にするソリューションであるため、レプリケーション機能でオンプレミスシステムのデータをクラウドに同期させるといった運用の一元化が可能だ。

図1 ETERNUS AX/HX series×CVOの構成例。クラウドにオンプレミスシステムと同じストレージシステムを構築する(出典:富士通資料)

ETERNUSのハードウェアを担当する秋山仁美氏(インフラストラクチャシステム事業本部データシステム事業部第一データインフラ部)は、富士通社内の各分野のスペシャリストがONTAPの提供元であるNetAppと密接に協力し、検証や開発を実施している点を強調する。「富士通は、長年ストレージを開発してきた実績があります」と秋山氏は述べる。富士通独自のクラウド「FUJITSU Hybrid IT Service for Microsoft Azure」「FUJITSU Hybrid IT Service for AWS」を基盤としてCVOを運用するなど、両社の製品およびサービスを組み合わせている点が特徴だ。 富士通の秋山仁美氏
ETERNUS AX/HX series×CVOを担当する富士通の川田 大氏(インフラストラクチャシステム事業本部グローバルポートフォリオマネジメント統括部ソリューションポートフォリオ管理部)は、物理的なバックアップサイトを遠隔地に確保することと比較したクラウドバックアップのメリットを説明する。コストや運用負担の軽減が期待できる他、オンプレミスシステムでもクラウドでも共通のストレージOSとしてONTAPを使用することで、ハイブリッドクラウドのデータ保護を一元管理できることが最大の利点だという。「ONTAPを通じて管理することで、クラウドを直接操作するよりも効率的なデータ圧縮や重複排除機能を利用できます」と川田氏は説明する。ハイブリッドクラウド/マルチクラウド統合管理ツール「BlueXP」での一元管理により、オンプレミスシステムとクラウドをまたいだミラーリングやバックアップ、レプリケーションなどの高度なデータ保護機能をドラッグアンドドロップで手軽に実行することも可能だ。 富士通の川田 大氏

データ活用の可能性を広げるETERNUS AX/HX series×CVO

莫大(ばくだい)なコストと運用負荷が掛かるバックアップサイトの運用をなくすことにより、コストを抑えて従来と同等のデータ保護レベルを実現できるのが、ETERNUS AX/HX series×CVOの強みだ。アプリケーションの実行環境についてもクラウドを生かすことでコスト削減が見込める。具体的にはVM(仮想マシン)イメージをクラウドに用意して必要な場合にリソースを確保して稼働開始する構成を取ることで、平常時にサーバを確保しておく必要がなくなる。

ETERNUS AX/HX seriesはETERNUSの中でもエントリーからハイエンドのラインアップを持つ製品だ。画像や動画などの非構造化データの増加を受けて、企業が抱えるデータは容量と種類の両方において膨らみ続けている。一方でAI(人工知能)技術が劇的な進化を遂げ、社内に蓄積された大量の非構造化データから価値を引き出すことのハードルは下がりつつある。こうしたデータ活用を前提とすれば、大容量のファイルストレージを中核とするバックアップ/リカバリーシステムは、より小規模なファイルストレージを用いるよりも運用の自由度が高くなると捉えることが可能だ。川田氏はETERNUS AX/HX series×CVOの価値を引き出しやすい企業の目安として、「数十TB以上のファイルストレージを運用する企業」を挙げる。

富士通は製品の開発や提供から、全国をカバーするきめ細かな支援体制まで、企業が必要とするものを一括で提供できる点に強みを持つ。ETERNUS AX/HX series×CVOについても同様に、オンプレミスシステムとクラウドに対して一貫したサポートを実施する。さらに秋山氏は次のように説明する。「当社が提案できるソリューションはCVOとの組み合わせだけではありません。お客さまのシステムの規模やシステムの種類に合わせて、『Veeam Data Platform』や『Arcserve Unified Data Protection』を使ったバックアップソリューションなど、さまざまな方法を提案します」

ランサムウェアや自然災害などの多様なリスクからデータを守る企業に対して、富士通は日本の事情を熟知したベンダーとして、日本特有の環境特性を踏まえたデータ保護システムの構築支援に力を注ぐ。

その他にも富士通は、今回紹介したETERNUSだけではなく、インテル Xeon スケーラブル・プロセッサー・ファミリー搭載のPCサーバ「PRIMERGY」など、システム全体で企業のデジタルイノベーションを支える幅広いソリューションを提案する。

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