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Thursday, March 5, 2020

「本当のDX」を実現するために必要なデータマネジメント、データバックアップの在り方とは - @IT

DXやSociety 5.0の実現に欠かせないデータマネジメント

ALT SB C&S ICT事業本部
販売推進本部 技術統括部 統括部長
荒川直樹 氏

 デジタル変革や働き方改革などの取り組みでは、「データをいかに活用するか」が重要になる。データは業務の効率化や新しい価値創造の源泉になるものだ。それでは、データを効果的に活用するためには、どのような管理手法やアプローチが求められるのだろうか――。

 2020年2月5日、SB C&Sは「Data Management Tech Summit 2020」を開催。仮想化やHCI(ハイパーコンバージドインフラ)、ストレージ、バックアップ製品などに携わる技術者に向けて、SB C&Sのデータマネジメントに対する取り組みや注力製品などを紹介した。本稿ではこのセミナーから、データマネジメントの在り方とバックアップ環境の見直しに関する2つの講演の内容をお伝えする。

 SB C&Sの荒川直樹氏(ICT事業本部 販売推進本部 技術統括部 統括部長)は講演で、「データマネジメント領域に対する考え方を見直す必要があり、今回まずデータ保護領域についての新しいアプローチについて課題提起したい」と訴えた。

 プリ・ポストサポートや製品・サービス検証、新規事業開発、テクニカルマーケティングなどをミッションにする荒川氏は、かつてシリコンバレーに駐在し、日本法人顧客向け新規事業開発やスタートアップ企業発掘、日本への事業戦略などに携わったキャリアを持つ。そうした経験から、現在は日本でもデジタルトランスフォーメーション(DX)や「Society 5.0」へ向けてのデータインフラの整備と利活用に対する関心が高まっていると指摘する。

 「DXやSociety 5.0を実現するためには、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などの新しい技術が重要になりますが、それらを活用する上で中心になるのがデータです。SB C&SはITディストリビューターとして、さまざまなソリューションを提案していますが、データマネジメント領域においても、新しい製品やサービスの提案に力を入れています」(荒川氏)

 データを取り巻く環境は複雑である。『収集』、『蓄積』、『整形・加工・処理』、『推論』、『可視化』、『活用』といった異なったレイヤーが存在し、それぞれでの部分最適は言うまでもなく、データに携わるインフラ管理側と利活用側との連携をベースにした全体最適が不可欠である。SB C&Sとしてはそれを踏まえて全般的にデータマネジメント領域のビジネスにおいて顧客をサポートしていきたいと考えているが、その中でも今回まずは、データインフラ整備、特に“データ保護”の領域に注目したい。

 「データマネジメントに取り組む際には、組織の分断やデータの肥大化、サイロ化、ハイブリッドクラウドへの対応等が必要です。データ保護インフラをモダナイズ(最新化)し、バックアップ、アーカイブや災害復旧(DR)の新しい要件に対応していくことが求められています」(荒川氏)

「データ蓄積・保護」から「データ活用」へ発展させるには

 荒川氏によると、バックアップ、アーカイブやDRはまだ「枯れた技術」「HCIなどのプライマリーシステムを購入する際のオプション」といったイメージを持たれることが多いという。また、バックアップの目的も、少し前まではシステム障害復旧やデータ復旧に限られていたそうだ。

 「しかし、今は違います。システム障害復旧やデータ復旧だけでなく、災害対策、セキュリティ対策など、新たな目的が増えています。それに伴い、バックアップ要件として考えるべき点も増えてきています」(荒川氏)

 バックアップ要件として考えるべき点には、大きく8つのポイントがあるという。具体的には、「場所」「対象」「データ量」「管理性」「災害対策」「データ保護」「セキュリティ対策」「データの再利用性」。

 例えば、バックアップの「場所」は、オンプレミスだけでなく、パブリッククラウドやプライベートクラウド、ハイブリッドクラウドなどを考慮する必要がある。また、バックアップの「対象」についても、物理環境だけでなく、仮想化環境やコンテナ環境、多様なシステムへの対応などを検討しなければならない。

 「特に重要なのが、単にデータを蓄積・保護するだけでなく、後々データを活用するという大前提に立つ、という観点です。本番環境のデータをテスト環境に複製して迅速にテストしたり、アーカイブからデータをすぐに取り出して業務で活用したり、素早く検索できるようにしたりすることがポイントです」(荒川氏)

 そのためには使い勝手の良い管理ツールが用意されていることや、データ量の増大に応じて基盤をスケーラブルに拡大できること、統合的なシステムになっていることなども必要になってくる。SB C&Sはディストリビューターとして、さまざまなストレージベンダーやバックアップソフトウェアベンダー、パートナーと協力し、ソリューションを展開できることが強みの一つだ。

データプラットフォーム「Cohesity」を提供

ALT SB C&S ICT事業本部
販売推進本部 技術統括部 第1技術部 4課
中原佳澄 氏

 既存のバックアップ環境を見直し、データ活用のためのプラットフォームを構築できる製品の一つとして、SB C&Sが展開しているのが「Cohesity(コヒシティ)」だ。

 SB C&Sの中原佳澄氏(ICT事業本部 販売推進本部 技術統括部 第1技術部 4課)の講演では、Cohesityの特徴と、Cohesityの機能を使ったバックアップデータ活用方法が紹介された。

 中原氏はまず、既存のデータマネジメント環境の見直しが求められる背景として、セカンダリーデータの大容量化、断片化が進んでいることを挙げた。企業システムで用いるデータは、業務システムやミッションクリティカルの本番環境で用いるプライマリーデータと、それらのバックアップや開発/テスト環境、ファイルサーバ、クラウドなどのセカンダリーデータで構成される。

 「セカンダリーには、プライマリーよりはるかに多いデータと、ソフトウェア/ハードウェア構成、そして運用があります。それらを一つ一つ管理しなければならず、管理するための人材も不足しています。こうした既存システムの複雑化、ブラックボックス化とIT人材の不足は『2025年の崖』とも呼ばれ、DX実現の大きな課題になっています。Cohesityはこの課題を解消できる製品です」(中原氏)

 Cohesityは「One Platform. One UI. Multiple Apps」というビジョンを掲げたデータプラットフォーム製品だ。バックアップの他、テスト/開発環境、ファイルサーバ、ファイルストレージ、クラウド連携といったさまざまなデータを統合管理できる環境を提供する。

ALT ▲データ活用のためのプラットフォームを構築できる「Cohesity(コヒシティ)」

 「既存の企業システムとしてプライマリー環境、バックアップソフトで取得するバックアップデータ、バックアップデータを格納するファイルサーバ/ストレージがあったとします。このような環境に対してCohesityを導入した場合、ファイルサーバとしてファイルサービスを提供するだけでなく、バックアップサーバとしても稼働でき、さらにテスト/開発環境に対してデータのクローンも提供できます。クラウドとの連携も容易です。データの一元的な管理が可能なのです」(中原氏)

 Cohesityはソフトウェア製品であり、オンプレミスやクラウドなど、さまざまな環境で動作する。オンプレ環境用に物理アプライアンスが提供されており、Cohesity導入の第一歩としてはこれを採用するケースが多い。

ALT ▲Cohesityの特徴。Cohesity社はソフトウェアメーカーだが物理アプライアンスも提供している

高速バックアップや開発者向けクローン機能が有用

 Cohesityの特徴の一つに、データを8〜24KBのチャンクに分割して管理する独自のファイルシステム「SpanFS」がある。SpanFSでは、チャンク単位で重複排除、圧縮を行うため、効率的な重複排除が可能だ。また、独自の検索技術で散らばったチャンクを素早く収集できる。さらに、複数ノードのディスクを1つのストレージとして管理できるので、容量も柔軟にスケールアウトさせていくことができる。ノードを追加して性能をリニアに向上させることも容易だ。

 中原氏はCohesityが備えるさまざまな機能のうち「データ保護」に焦点を当て、仮想マシンのバックアップとリカバリー機能、クローンを作成して開発テスト環境で活用する機能(テスト&開発)を詳しく紹介した。

 Cohesityのバックアップは、前回のバックアップから更新分だけをバックアップする「永久増分」方式だ。初回にフルバックアップを取得すれば、以降は増分だけがバックアップされるので業務への影響も少ない。また、リカバリー処理も1回だけで済み、合成バックアップやマージも不要だ。しかも、SpanFSによってデータを素早く収集できるので、高速なバックアップが可能だ。

 「テスト&開発(Test & Dev)」は、バックアップデータから仮想マシンや「SQL Server」などのデータベースのクローンを素早く作成し、ユーザーに提供する機能。本番データにできるだけ近い状態のクローンを作成して、開発やテストで活用できる。

 「仮想マシンのリカバリーを実施すると、リカバリージョブが完了する前に仮想マシンが立ち上がり、ユーザーが操作できるようになります。ユーザーはリカバリーの完了を待つ必要がなく、業務をすぐに再開できます。また、クローンを活用することで、開発とテストの迅速化が可能になります」(中原氏)

ALT ▲バックアップデータから仮想マシンやデータベースのクローンを素早く作成できるので、開発やテストの迅速化が可能になる

 Cohesityはこの他にも、1つのデータにSMB(Server Message Block)/NFS(Network File System)/S3(Simple Storage Service)でマルチプロトコルアクセス可能なファイルサーバ/オブジェクトストレージとして利用できることや、全文検索やログ分析(Splunk)などのアプリケーションを稼働できること、クラウドを活用した遠隔地バックアップ、DRなどが可能なことなど、多彩な機能を有する。

 中原氏は「SB C&Sの技術ブログ『C&S ENGINEER VOICE』でCohesityの機能を詳しく紹介しているのでぜひご覧ください。SB C&Sは、Cohesityをはじめとするデータマネジメント製品で、お客さまが“2025年の崖”を乗り越えるためのお手伝いをします」と述べ、講演を締めくくった。

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March 05, 2020 at 05:00PM
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