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Monday, March 2, 2020

米タリバン合意 恒久和平につなげたい:社説・コラム(TOKYO Web) - 東京新聞

 アフガニスタンに恒久和平をもたらす端緒にしたい。反政府武装勢力タリバンと米国の和平協議が合意に達した。四十年を超える争乱の歴史を終わらせるために国内諸勢力の和解努力を期待する。

 合意によれば、アフガン駐留の米軍約一万三千人を段階的に減らし、タリバンが合意を順守すれば十四カ月以内に完全撤収する。

 二〇〇一年の米中枢同時テロを受け、米国がアフガンで軍事作戦を始めて以来十九年近く。最盛期には十万人が駐留した。米国にとってアフガン戦争はベトナム戦争を抜いて最も長い戦争だ。トランプ大統領は軍撤収を公約にしてきた。

 アフガン国民にとっても戦争終結は悲願である。一九七八年の「サウル(四月)革命」による社会主義政権樹立に続き、翌七九年にソ連軍が侵攻した。七〇年代以来アフガンは動乱続きだ。国連によれば、最近の十年間だけで十万人以上の民間人が死傷した。昨年末には復興に尽くした中村哲医師も凶弾に倒れた。

 ただ、再選を狙うトランプ氏が撤収に前のめりなのは気掛かりだ。拙速な撤収は力の空白を生む。アフガンではタリバンだけでなく過激派組織「イスラム国」(IS)も勢力を伸ばしている。

 八九年にソ連軍が撤退した後、群雄割拠した武装勢力による内戦が続いた悲劇を繰り返してはならない。

 次の焦点となるタリバンとアフガン政府との和平交渉も難関だ。交渉が不調に終わればタリバンが力にものをいわせることも想定される。非力の政府軍では太刀打ちできない。しかも政権はガニ大統領とアブドラ行政長官の対立で分裂状態にある。

 九六年から〇一年まで続いたタリバン統治下では、女性の権利は著しく制限され教育や就業の機会を奪われた。今は女性の社会進出は格段に進んだ。国会議員や検察官、地方指導者ら公職に就く女性、医師や教師、企業家も現れて活躍している。

 女性たちはタリバン時代に逆戻りしないか恐れている。タリバンは女性の権利を保障しなくてはならない。

 恒久和平には、さまざまな民族や政治勢力が和解を図ることが不可欠だ。その手始めに政府とタリバンは国民の利益を最優先にして建設的な交渉を進めてほしい。

 一方、日本を含め国際社会は和平と復興を後押しする支援を続ける必要がある。

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