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Sunday, July 19, 2020

意外とディープな手袋の歴史、石器時代から21世紀まで(ナショナル ジオグラフィック日本版) - Yahoo!ニュース

ステータスシンボルからファッションアイテムへ、コロナで再び流行するか

 今年4月、私がインターネットを使っていると、ピンク色の女性用「エランド・グローブ(直訳すると使い走り用手袋)」なるものの広告が出てくるようになった。エランド・グローブ? ギャラリー:意外とディープな手袋の歴史、石器時代から21世紀まで 写真11点  20世紀中頃の女性が、お茶を飲んだり、帽子を買いに出かけたり、秘書として働いたりするときに身につけていた、手首までの長さのレトロな白い手袋のようなものだろうか?  予想は外れた。「エランド・グローブ」は、1923年から米ニューヨークでスカーフや手袋を製造・販売しているエコー・デザインズ社の今年の新商品だった。同社のCEO兼社長のスティーブン・ロバーツ氏は、「新型コロナウイルスが流行しはじめると、スーパーのゴミ箱がビニール手袋でいっぱいになっているのを頻繁に見かけるようになりました」と言う。「私は、人々の不安にどのように対応するべきかと考えました。軽くて洗える手袋を作れないだろうかと思ったのです」  ロバーツ氏は早速、アジアの工場に綿ポリ素材の手袋を量産させた。「当社の手袋は医療用ではなく、素手では心許ないという方に安心感を与えるためのものです」として注意を促すが、この3カ月間で何千組も販売したという。  新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、温暖な季節にもシックな手袋を少しだけ復活させるかもしれない。人類は何千年も前から、暖をとるため、ファッションのため、手を保護するために手袋をはめてきた。手袋は、英国王室の儀式から20世紀初頭の医療に至るまで、あらゆる場面で大きな役割を果たしてきた。

ステータスシンボルとして

 古代の洞窟絵画を見ると、氷河期の石器時代にも、人類は何かを編んで作ったようなシンプルなミトンを使っていたことがわかる。現存する最古の手袋は、1922年にエジプトのツタンカーメン王の墓から発見された。紀元前1343~前1323年に作られた、手首で結ぶタイプの麻製のおしゃれなものだ。 「馬で引く二輪の戦車に乗るときに使うものだと思われます」と、革と手袋の専門家で、『Gloves and Glove-Making(手袋と手袋づくり)』という著書があるマイケル・レッドウッド氏は言う。「これをはめて手綱を握るのですが、実用品というよりは象徴的なものだったのでしょう。古代の手袋は、王族にとっても、宗教にとっても、法制度にとっても重要な品でしたが、ツタンカーメンはこの3つを兼ねた存在でした」  当時、貧しい人や労働者は家庭で編んだ手袋を使っていて、上流階級の人々は布製や革製の手袋を使っていた。上流階級の人々にとっても、手袋は実用的なものだった。ホメロスの『オデュッセイア』にも、登場人物たちが棘のある木から手を守るために手袋をするくだりがある。ヨーロッパの騎士は身を守るために(そして威圧感を与えるために)手首より長い金属製の「篭手(こて)」を身につけていた。  中世ヨーロッパでは手袋がさらに普及したが、五本指の手袋の製作にはミトンより多くの資源と技術が必要になるため、非常に丈夫なもの(戦士が使う鎖帷子製の手袋や鍛冶屋が使う厚手の革製の手袋など)か、上流階級のファッションや儀式用のものしかなかった。  英国君主の戴冠式では、西暦973年のエドガー王の戴冠式以来、宮中の役人が君主の右手の手袋を外し、薬指に指輪をはめる儀式がある。1559年にエリザベス1世が即位式に臨んだときの手袋は、白のスウェード製で、銀のふさ飾りがついていた。エリザベス2世が1953年6月2日の戴冠式で着用した真っ白な革手袋は、見た目に大きな違いはないが、より凝った作りになっていて、金糸で女王のイニシャル「ER II」の縫い取りが施されていた。  古代ヨーロッパでは、手袋を贈ることには、土地の譲渡や優遇措置を与えるという意味があった。騎士たちは戦いを挑むときに相手に向かって篭手を投げたが、この伝統の精神は後世に受け継がれ、紳士が決闘を申し込むときに手袋を投げるようになった。  エリザベス1世の時代には、ヨーロッパの上流階級は男性も女性も手袋なしで人前に出ることはほとんどなかった。ファッション史家で、米ニューヨーク州立ファッション工科大学博物館の館長でもあるバレリー・スティール氏は、「手袋の製作は複雑だったので、非常に贅沢な品でした」と言う。ベネチア派の画家「ティツィアーノが肖像画を描いた16世紀の金持ちたちは皆、手袋をしているか、手袋を手に持っています」。またカトリック教会では、神父たちは純潔を示すために手袋をしていた。  ヨーロッパの宮廷では、宝石をちりばめた長手袋が男女を問わず人気だった。「長手袋にはしばしば香りがつけられていました。香りをつけることで、瘴気(しょうき)のせいでうつる病気を払えると信じられていたからです」とスティール氏は言う。香り付けにはハーブやスパイスが使われ、動物の排泄物でなめされた革の悪臭を消すのにも役立っていた。  イタリア生まれのフランス王妃カトリーヌ・ド・メディシスは、16世紀のフランス宮廷で甘い香りのする手袋を広めただけでなく、これを使ってスペインの王族に毒を盛ったとして非難された。この噂話は証明されることはなかったが、何十年にもわたって囁かれ続け、アレクサンドル・デュマの1845年の小説『王妃マルゴ』に影響を与えた。

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July 19, 2020 at 03:11PM
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