アメリカのトランプ政権は、人種差別に抗議するデモが2カ月以上続く西海岸オレゴン州ポートランドから、一部の連邦治安部隊を撤退させる方針を固めた。
米国土安全保障省のチャド・ウルフ長官代行は29日、騒動の中心となっている連邦政府庁舎を地元警察が保護することが撤退の条件だと述べた。
オレゴン州のケイト・ブラウン知事(野党・民主党)は、連邦職員が同州最大都市のポートランドから30日に撤退を開始するとした。
連邦政府と州当局の発表内容
国土安全保障省のウルフ長官代行は声明の中で、撤退のスケジュールは示さなかった。
しかし、自分と州知事は「ポートランドにおいて、連邦の財産と法執行官に対する暴力行為を終わらせるため、共同計画に合意した」と述べた。
「その計画には、ポートランドの繁華街にオレゴン州警察の強力な警備を敷くことが含まれている」
ウルフ氏はさらに、「州と地方の法執行機関は毎夜攻撃を受けている財産や市内、とりわけ連邦の財産の保護を開始する」と付け加えた。
ブラウン州知事は29日、「(連邦職員は)占領軍のように行動し、暴力をもたらした。明日(30日)から全ての税関・国境警備局(CBP)および移民税関捜査局(ICE)職員がポートランドの繁華街から撤収する」とツイートした。
一方で、連邦保安官局(SMS)と連邦防護局(FPS)の職員については、通常から拠点としているポートランドの裁判所に留まることになると付け加えた。
「連邦政府と素晴らしい法執行機関(国土安全保障省)が1週間前にポートランドに入っていなければ、今頃ポートランドはなくなっていたはずだ。焼き尽くされ、打ち壊しにあっていただろう。ポートランド市長とオレゴン州知事が無政府主義者や扇動者によるこの犯罪と暴力を直ちに止めなければ、連邦政府が介入し、地元の法執行機関が行うはずだった役目を果たす」と、トランプ氏は書いた。
ポートランドで何があったのか
ポートランドでは、黒人男性死亡事件に端を発した人種差別と警察の残虐行為に対する抗議デモが数週間続き、連邦施設が破壊される事態となった。今月4日、こうした連邦施設を守るために連邦職員が派遣された。
ブラウン州知事とテッド・ウィーラー市長(いずれも民主党)は連邦政府の介入を要請したことはないとし、介入は今年11月に米大統領選を控えたトランプ大統領による人気取りだと非難した。
連邦職員とデモ隊が激しく衝突して負傷するなど、ポートランドのマーク・O・ハットフィールド連邦裁判所は毎夜、戦場と化している。地元ニュースサイト「oregonlive.com」によると、複数の救急隊員や報道陣も、連邦職員が発射したゴム弾やこしょう弾で負傷しているという。
トランプ政権はポートランドでの取り締まりと並行して、銃犯罪が増加しているイリノイ州シカゴやミズーリ州カンザスシティー、ニューメキシコ州アルバカーキーにも連邦職員を派遣した。いずれの州知事も野党・民主党だ。
米司法省は29日、民主党の知事が州トップの、オハイオ州クリーヴランド、ミシガン州デトロイト、ウィスコンシン州ミルウォーキーについても、「特に殺人など凶悪犯罪の増加が懸念される」ことを理由に連邦職員を派遣する方針だと明かした。
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July 29, 2020 at 07:46PM
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米政府、デモ続くポートランドから連邦職員撤退へ 地元警察の配備が条件 - BBCニュース
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