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Thursday, December 3, 2020

台湾、密航香港人を水面下保護か 中国からの批判やスパイ警戒 - SankeiBiz

 台湾の蔡英文政権が、香港国家安全維持法(国安法)で追い詰められてパスポート(旅券)なしで逃れてくる香港の民主派活動家らを、水面下で目立たぬように保護しているもようだ。密航は取り締まり対象の上、中国のスパイが紛れていることを警戒し、慎重な審査も実施。ひそかに保護する背景には「外部勢力の干渉」との中国からの批判をかわす狙いもある。

 「密航香港人5人が長期間、台湾当局に拘束されている」。台湾メディアは9月、関係者の話として伝えたが、対中国政策を主管する大陸委員会は事実関係の確認を拒否。香港人を支援する人権活動家は「政府がどう処理したのか、われわれも分からない」と話した。

 昨年の香港の反政府抗議デモに参加し摘発された若者の多くは、香港当局からパスポートを没収されたという。淡江大両岸(中台)関係研究センターの張五岳・主任は「台湾政府は決して香港人に(違法の)密航を奨励できない。旅券没収という特殊事情から、事案ごとに対応するしかない」と政府の立場を説明する。

 台湾メディア幹部によると、昨年以降、密航で台湾に来た香港人は約200人で、多くはその後、欧米各国に逃れた。台湾は難民に関する法律がなく、受け入れ体制が整っていないためだという。

 この幹部は「共産党は国安法施行後、(統制が強化された)香港に多数のスパイを置く必要がなくなった。台湾政府は、余ったスパイが活動家らに紛れて台湾に侵入することを最も警戒している」と指摘した。

 今年1月の総統選で勝利した蔡総統は選挙期間中、香港問題に繰り返し言及。「一国二制度」の受け入れを要求する中国の習近平指導部を批判し、再選の原動力にした。

 その流れを受け、国安法施行直後の7月に香港人を支援する専門部門を立ち上げ、寄り添う姿勢をアピールした。だが中国を過度に刺激しないよう香港をめぐる発言は慎重だ。10月10日の双十節(建国記念日)祝賀式典での演説で国際情勢全般に言及した際、「各国が関心を寄せる国安法」とだけ述べた。具体的な対策には触れず、中国批判も抑えて対話を呼び掛けた。

 中国当局は8月、香港から台湾へ船で密航しようとした民主派活動家ら12人を拘束。台北市では10月25日、12人の釈放を中国に求めるデモ行進が実施された。あるデモ主催者は、台湾で既に保護しているとみられる活動家らについて「安全を守るため、保秘は絶対に必要だ」と述べ、多くを語らない蔡政権に一定の理解を示した。(台北 共同)

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