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Sunday, February 28, 2021

アフガン戦闘再び激化、和平見通せず 米軍撤収の見直し視野―米・タリバン合意1年 - 時事通信ニュース

2021年03月01日07時39分

アフガニスタン軍を標的にした爆弾攻撃が起きた現場を歩く治安部隊員ら=1月30日、アフガン東部ナンガルハル州(EPA時事)

アフガニスタン軍を標的にした爆弾攻撃が起きた現場を歩く治安部隊員ら=1月30日、アフガン東部ナンガルハル州(EPA時事)

 【ニューデリー、ワシントン時事】アフガニスタン駐留米軍の撤収を目指したトランプ前米政権とアフガンの反政府勢力タリバンが2020年2月末に和平合意に調印してから、1年が経過した。この間、アフガン政府とタリバンの和平交渉も始まったが、進展はない。タリバンの攻勢は激化し、バイデン政権に移行した米政府は、今年5月を期限とする米軍撤収計画の見直しを視野に、合意の再検証を進めている。

和平交渉開始後に死傷者増 タリバンが攻勢強化―アフガン

 ◇「希望はどこに」
 「毎日が誰かの葬儀だ」。東部ラグマン州で農業を営み、この2年間で親族3人を亡くしたアフマド・ジャウィード・ネクザクさん(45)は、戦闘で犠牲者が出続けている現状を嘆く。「和平交渉している連中は毎日人を殺しているじゃないか。どこに希望があるというのか」
 タリバンは和平合意に際し、一時は暴力行為を抑制した。しかし、和平に消極的なガニ政権は、昨年3月に予定されていたタリバンとの交渉開始を何度も先送り。交渉は9月になって始まったが、タリバンはこの後、ガニ政権に圧力をかけようと武力攻撃を活発化させ、政府軍も空爆など軍事行動を強化した。
 国連アフガン支援団(UNAMA)は今年2月23日、「交渉が始まってから民間人死傷者が急増している」と指摘する報告書を発表。双方に即時停戦を強く求めた。
 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス客員教員で国際テロの専門家のサッジャン・ゴヘル氏は合意について、「和平のためでなく、米国が紛争から撤収するため」のものだったと批判。米国の「譲歩」により「タリバン(強硬派)の中核が釈放され、その8割超が暴力的傾向に回帰した」と分析した。
 ◇米、タリバン批判強める
 米国民の間に根強い厭戦(えんせん)気分を踏まえ、駐留部隊撤収を急いだトランプ前大統領は昨年11月の大統領選で敗北し、米国のアフガン政策は転機を迎えている。
 バイデン政権は、タリバンが国際テロ組織アルカイダとの関係を維持するなど「米国との合意事項を履行していない」と批判。サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は合意の再検証に着手すると宣言し、米軍撤収を遅らせる可能性を示唆した。アフガン政府とタリバンの交渉が停滞する中、拙速な撤収はタリバンを勢いづかせ、治安悪化を招くとの懸念が強まっているためだ。
 米シンクタンクCNAのジョナサン・シュローデン氏は「バイデン政権は再検証の中で、タリバンが合意を守っていない証拠を集めて突き付けることで、撤収期限の延期交渉に持ち込もうとしている」と予想。米国側も合意に明記されたタリバンへの制裁見直しを履行していないと指摘した上で、「延期すれば双方が合意履行に取り組むことができるとともに、アフガン政府とタリバンの和平協議を前進させる時間的余裕も生まれる」と語った。

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