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先週半ば、ウォール街の中枢では警報が鳴り響いていた。1990年代のロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)以来最大のヘッジファンド関連の突発事件に直面しかねない状況に経営陣が気づいたからだ。
世界の投資銀行は急ぎ手配された電話会議に集まった。何十億ドルもの銀行損失と市場への連鎖反応の可能性を回避するため、ビル・フアン氏のファミリーオフィス、アルケゴス・キャピタル・マネジメントの問題への対応で速やかな停戦が必要だった。ただ、26日までには各行が自行のために動き出した。
アルケゴスのポジションの強制的清算は先週、主要銘柄の株価急落を招き、資本市場全般に衝撃を送り続けている。事情に詳しい複数の関係者によれば、この事態に先立ち国際金融の世界の上層部では論争があり、すぐに責任のなすり合いや怒りに転じたという。各行は損害の集計を始めている。
これまでのところ、 クレディ・スイス・グループと 野村ホールディングスは「多額」の損失を被る可能性があると株主に伝えた。ポジション巻き戻しで同業より一歩抜きんでた ゴールドマン・サックス・グループは業績への影響は軽微な可能性が高いと投資家に通知した。 ドイツ銀行は損失を回避したとしている。28日夜までブロック取引をしていたという モルガン・スタンレーはまだ、損失を明確にしていない。
26日午前にこの問題が公になる前に、世界の大手プライムブローカレッジの担当者らはフアン氏との電話会議を開き、大混乱の回避を図った。クレディ・スイスが打ち出したこのアイデアは、パニックを引き起こさずにポジションを整理する方法を見いだすため、ある種の一時的停戦状態に持ち込む狙いがあったという。
しかし、合意は見通せず、25日夜までには一部銀行が潜在的な損失を抑えるべくアルケゴスにデフォルト(債務不履行)通知を行って担保差し押さえに動いた。ただ、その時でさえ、アルケゴスとの契約条件に基づいていつ売却を進めることができるかは不明だったと関係者1人は話した。
その後すぐに、誰が抜け駆けしているかの責任追及が始まった。クレディ・スイスが売却凍結に十分にコミットしていないと疑う話も一部に浮上。26日午前までには、ゴールドマンが表向きはアルケゴスを支援するためとして一部ポジションの売却を計画したという話が広がり、これを聞いたライバル行が不快感をあらわにした。さらにモルガン・スタンレーはブロック取引で世間の関心を集め始めた。
各行の担当者はコメントを控えた。
原題: Credit Suisse Bid for Tidy Archegos Fix Ends With Banks Brawling(抜粋)
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