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Saturday, June 12, 2021

G7、ワクチンでは合意も 米の強硬路線を警戒する欧州 - 朝日新聞デジタル

 英国で開催中の主要7カ国首脳会議(G7サミット)は世界へのワクチン提供を掲げ、結束をアピールする。インフラ投資を含め、バイデン米大統領が主導する形で、途上国への影響力拡大を図る中ロを意識した戦略だ。

 「失敗を繰り返さないことが重要だ。(コロナ禍から)社会全体で立ち上がり、より良い復興を果たす必要がある」。議長国である英国のジョンソン首相は初日の会合で、こう訴えた。

 新型コロナの感染による死者数は世界で約378万人にのぼり、社会や経済に大打撃を与えている。ジョンソン氏はG7のリーダーシップにより、危機を克服する意気込みを示した。

 会合では、新型コロナパンデミック(世界的大流行)を抑え込むため、G7と招待国の韓国、豪州、インド、南アフリカが来年にかけて、新たに10億回分以上のワクチンを、途上国を中心に世界に提供することで合意。アフリカなどに生産拠点を拡大する構想も描く。

 さらに、「ワクチン開発期間を100日以内に縮める」「ウイルスや感染症の国際的な監視網づくり」「世界保健機関(WHO)改革と機能強化」などを盛り込み、開催地の名前をつけた「カービスベイ宣言」も採択する見通しだ。

 G7が一致して「公約」をまとめた背景には、欧米がワクチンの「買い占め」で批判される中、独自の「ワクチン外交」で存在感を強めてきた中国やロシアの存在がある。

 中国はこれまで80以上の途上国ワクチンを提供。輸出も含めて3億5千万回分にのぼり、「世界で最も多くのワクチンを対外的に提供した国」(汪文斌外務省副報道局長)と主張。ロシアも、自国ワクチンのスプートニクVの承認国数が世界で60カ国を超えると国際貢献を訴える。

 一方で、中国にはワクチン提供の代わりに、台湾との関係見直しを他国に迫っているとの批判がある。バイデン氏は「我々はワクチン提供と引き換えに、便宜供与や譲歩を求めて圧力をかけることはしない」と強調する。(コーンウォール=金成隆一、北京=冨名腰隆)

先行発表、主導権握る米国

 今回のサミットは終始、米国主導だ。

 「民主的なシステムが人々に貢献し続けられるか。今回のG7サミットは、それを証明するためのものだ」。米政府高官は11日、記者団にこう強調した。

 バイデン氏は外交課題を「民主主義VS.専制主義」の闘いと位置づけてきた。英国到着直後の演説では「民主主義の時代は終わったという考えを信用させてはならない。21世紀の課題が持つスピードとスケールに対し、独裁者の命令が対応できるとの考えは誤りだと示す必要がある」と指摘。20分あまりの演説で「民主主義」「民主的」といった言葉を13回も使った。

 さらに、際立つのがG7として打ち出す内容を米国が相次いで先行して発表する姿勢だ。中低所得国への巨額のインフラ投資も12日の協議開始前に公表。米政府高官は「選択したいと思うような、(中国とは)別のビジョン、アプローチを各国に提供したい」と強調した。世界へのワクチン供給をめぐっても、米国が5億回分の寄付をいち早く表明している。米国には、影響力を強める中国に代わって民主的で透明性のある選択肢を世界に示し、各国を「民主主義陣営」に取り込みたい思惑がある。陣営を率いる指導力をアピールしている形だ。

米が強調する「民主主義VS.専制主義」の構図

 バイデン政権は発足以来、中…

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