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Tuesday, November 9, 2021

伝統デザイン回帰のボーズ「QC45」。シンプル機能&操作が“ちょうどいい” - AV Watch

gugurbulu.blogspot.com

ボーズから、新たなノイズキャンセリング(NC)ヘッドフォン「QuietComfort 45 headphones(QC45/39,600円)」が10月28日に登場。試聴すると共に、同社の「BOSE NOISE CANCELLING HEADPHONES 700(NC HP700/価格は46,750円)」とも聴き比べてみた。結論から先にいうと、最新モデルはシンプルな操作系と機能を備え、普段づかいに“ちょうどいい”モデルになっている。

「QuietComfort 45 headphones」(ホワイトスモーク)
イヤーカップの内側にLとRの表記がある

進化したNC効果を体験

QC45は、ボーズの定番モデルとして人気の根強い「QuietComfort」シリーズの最新モデル。前モデルのQC35 IIは2017年11月発売だったので、実に4年ぶりのリニューアルとなった。価格は39,600円で、カラー展開はブラック、ホワイトスモークの2色。製品には本体のほか、30cmの充電用USBケーブル(USB Type-A to Type-C)と有線接続用の音声ケーブル(3.5mm~2.5mm)、キャリーケースが付属する。

同梱物一式

新モデルの特徴は、新しいアクティブノイズキャンセリングシステム(ANC)と電子回路パッケージを搭載し、ANCでは「Quiet」と「Aware」という2種類のモードが選べるようになった事。Quietモードではノイズキャンセリングが有効になり、Awareモードではヘッドフォンを装着したままで周囲の音を確認できる。

長年ノイズキャンセリング技術を研究し、対応製品を数多く送り出しているボーズだけに、Quietモードの効果はトップレベル。在宅ワーク中に試してみるとPCや空気清浄機、エアコンなどの動作音、キーボードの打鍵音なども打ち消してくれ、まさしく無音のなかで作業できた。地下鉄などでも、走行音などのノイズを防いでくれるので、音楽や動画に集中できる。

外音取り込みモードにあたるAwareモードも、いかにも“マイクで外の音を拾っている”という聴こえ方ではなく、自然に近い聴こえ方で周囲の状況を確認できた。

NCモードは2種類に固定されており、2019年に登場した、同じくNC対応で「新時代のワイヤレスヘッドフォン」に位置づけられる「NC HP700」では、NCレベルを11段階で調整できたので、調整の幅は減っている。だが、実際に使ってみると印象が違う。

左が「BOSE NOISE CANCELLING HEADPHONES 700」。右がQC45

NC HP700では在宅ワーク中、PCのファンノイズなどは打ち消しつつ、インターホンは確認できるNCレベルにするといった使い方ができるので便利なのだが、外出中はNCレベル最大と、まわりの音を確認できるNCレベル最低の2つを行き来する場面がほとんど。しかしプリセットは3つ用意されているため、切り替え用のアクションボタンを2度押しする必要があるなど、手間に感じる場面も多かった。

それに対し、QC45はNCレベルが2種類に固定されているため、ボタンを1回押すだけでモードを切り替えられる。とっさに電車内のアナウンスを確認して、また音楽や動画に没頭するといったこともボタンひと押しでストレスなくできた。

QC45はタッチ操作非対応。左右イヤーカップ後ろに備えられたボタンで音量などを操作できる

操作面では、NC HP700はタッチ操作対応だったが、QC45はボタン操作のみでタッチは非対応。タッチ操作とボタン操作は好みが分かれるところだが、確実な操作感が得られるボタンを好むユーザーは多いはず。これからの季節、手袋をしたままでも操作できるのも嬉しいところ。

またNC HP700は音声アシスタントとしてAmazon AlexaとGoogleアシスタントを内蔵、Spotifyをワンタップで呼び出し楽曲を再生できる「Spotify Tap」も利用できたが、QC45で使える音声アシスタントはスマートフォン搭載のものだけで、Spotify Tapも利用できないといった違いもある。

NC HP700とQC45では、本体デザインが大きく異なる

本体デザインは従来のQCシリーズと同様、折りたたみ機構が付いた太めのヘッドバンドを採用。NC HP700は頭頂部から耳の方に向かって徐々に細くなる形状で、収納もハウジングを回転させてフラットにさせる仕組みで違いがある。

QC45を付属のケースにしまったところ。収納時の折りたたみ方が少し独特
付属ケースには折りたたみ方の図も記されている
NC HP700をケースにしまったところ。折りたたみはできない
NC HP700のケース(左)とQC45のケース(右)を並べたところ

折りたためるほうが持ち運びがコンパクトになりそうだが、付属ケースの大きさに差はほとんどなし。またケース最薄部の厚みはNC HP700のほうが薄かった。ビジネス用の薄いバッグなどで持ち運ぶ際、QC45だとやや出し入れがしにくい場面があるかもしれない。

QC45は装着感も良好で、在宅ワーク中や外出時など長時間連続で着けていても痛みを感じることはなかった。イヤーパッドはQC45、NC HP700ともに立体感があり、表面の手触りがいいレザー調になっている。重さはNC HP700と10gしか変わらない240g。筆者はAirPods Maxも所有しているが、あちらはアルミニウムハウジングが使われており、重さ384.8gと重量級なので、音質やNC性能だけでなく、やはり軽さも重要だと気付かされた。

ひとつ残念に感じたのは、装着検知機能が搭載されていないこと。この機能があれば、イヤフォン/ヘッドフォンを外すと、自動で音楽が一時停止し、再度装着すると自動で再生が再開される。

最近の完全ワイヤレスイヤフォンは装着検知機能を搭載しているものが多く、ワイヤレスヘッドフォンでもソニーの「WH-1000XM4」やアップルの「AirPods Max」にも同機能が備えられている。スーパーやコンビニでの会計時、最近ではマスクの着脱時に重宝する機能なので、QC45にも搭載してほしかったところ。

パワフルに進化したサウンド

音質面では、NC HP700よりも全体的に音の押し出しが強くなった印象。エド・シーランの「Bad Habits」では、低域から高域までパワフルに再生される。それでいて音の定位感や輪郭もボヤけることなく、しっかりと表現されている。YOASOBIの「三原色」を始めとするJ-POPでも音の傾向は変わらず、ジャンルを問わずにパワフルな音楽を楽しめた。

比較するとニュートラルなサウンドのNC HP700も音質面に不満はないが、筆者がよく聴くポップスやアニソン、アイドルソングなどでは、より力強く、元気なサウンドを聴かせてくれるQC45のほうがマッチしていて、個人的には好みだった。

QC45は、QCシリーズ伝統のデザインを踏襲。NC HP700と比べると機能が削られている分、操作系がシンプルになり近い勝手が向上した印象だった。すでにNC HP700を所有しているユーザーであれば買い換える必要性は高くないだろうが、これから新しくNCヘッドフォンを手にしたいというユーザーは、約7,000円という価格差だけでなく、機能/操作面の違いにも目を向けながら選ぶといい。個人的にはシンプルなボタン操作が好みなのでQC45をおすすめしたい。

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