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Sunday, January 2, 2022

子どもがもらった「お年玉」 親が預かって勝手に使ったら法的にはどうなる?(前田恒彦) - 個人 - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース

 子どものときに親戚から「お年玉」としてもらったお金を親に預けたまま、うやむやになっているという人も多いのではないか。もし親が勝手に使い込んでいたら、法的にはどうなるか――。

親が預かるのはOK

 たとえ未成年であっても、法的にはそのお金は「贈与」された子ども本人のものにほかならない。親が子どもの代わりに受け取った場合でも同様だ。子どもからすると、ゲーム機を買うなど自由に使いたいところだろう。

 一方で、判断能力が乏しい子どもに無駄使いをさせたくないというのも親心だ。そこで民法では、未成年者を保護するため、親権者が子どもの財産を管理できる仕組みとなっている。

 親戚が親ではなく子ども本人に管理させたいという意思を明らかにしていた場合でない限り、親が子どもからお年玉を預かり、管理すること自体は問題ない。

親の使い込みはNG

 しかし、あくまで「管理」できるだけで、親が勝手に使い込むことまでは認められていない。親の財産と混和するのを防ぐため、子ども名義の預貯金口座を開設し、そこに入金しておくのがベターだ。これをせず、ギャンブルやタバコ代、遊興費など親の私的な用途にあてるのはもってのほかだ。

 たとえ子どもの教育費や食費であっても、本来は扶養や監護の義務を負う親が自らのお金で負担しなければならない性質のものだ。親が子どもの財産を勝手に使い込んだら、子どもにその損害を賠償しなければならない。

 しかも、この管理権は子どもが成年に達した段階で消滅する。親は管理していた財産の収支を遅滞なく子どもに明らかにしなければならない。その財産で得た収益、例えば銀行に預けた際の利子分は養育費などと相殺できるし、小遣いとして渡したものなど正当な使途分も差し引けるが、元本の残りは子どもに引き渡す必要がある。

成年年齢の引き下げに注意

 お年玉程度の金額だと親子間で法的紛争に発展することはないだろうが、祖父母が幼い孫のために多額の遺産を残し、親がその管理中に勝手に使い込んで浪費した場合、家庭裁判所で管理権喪失の審判が下されることもありうる。親族間の特例規定があるので刑こそ免除されるものの、刑法の横領罪も成立する。

 重要なのは、4月1日に改正民法が施行され、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられるという点だ。その日の時点で18歳以上20歳未満であればその日に、18歳未満であれば18歳の誕生日が来たら成年になる。親はその時点で管理していたお年玉などの財産の収支を子どもに示し、引き渡す必要がある。

 ただし、たとえ親が子どものお年玉などを使い込んでいたとしても、子どもの親に対する損害賠償請求権は親の管理権消滅から5年が経つと時効になるので、注意を要する。はるか昔に成年になったという人だと、親に預けて使い込まれたお年玉が戻ってくることは期待できないだろう。(了)

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