2022年06月09日07時10分
改正児童福祉法の成立により、虐待を受けた子どもを親から引き離す一時保護に裁判官が関与する「司法審査」の導入が決まった。強い権限を持つ第三者の司法の目が入れば、手続きの透明性を確保でき、児童相談所が親とトラブルになって現場が疲弊することを防げるとの狙いがある。ただ、司法判断によっては、保護が解除されるケースも考えられる。子どもの安全を十分に確保しながら、制度を運用できるかが課題だ。
新たな仕組みでは、児相が保護開始から7日以内に一時保護状を請求。認められれば、保護を続けられる。これまで保護の判断は児相のみで行い、親とトラブルになるケースもあった。厚生労働省の担当者は「親権を制約する一時保護について、手続きの適正さを司法に判断してもらう仕組みが必要だ」と説明する。
新制度導入に伴い、厚労省は児相の取り組みを丁寧にサポートする方針だ。保護の必要性を説明する資料の作成を支援するため、書類の様式統一を検討。また、司法に詳しい専門職員の配置を後押しし、事務負担の軽減を目指す。
改正法は、一時保護状の請求が却下された場合も想定。子どもに重大な危害が生じるのを防ぐため、児相は却下の取り消しを裁判所に請求できる。ただ、棄却されれば保護できなくなる。
保護が必要かどうかの基準は今後、内閣府令で示される予定。保護をめぐる児相と司法の判断に食い違いが生じないよう、厚労省は基準をできるだけ明確に示す方針だ。子ども家庭福祉が専門の関西大の山県文治教授は「児童福祉法などの精神は、虐待かどうか分からないから保護するという考え方だ。そこを司法が十分理解してくれるかどうかが分かれ目になる」と指摘している。
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