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Thursday, September 1, 2022

「ありがとう、またね」猫たちの最期の挨拶、飼い主の“不思議体験”、相棒猫との絆に涙あふれる - 愛媛新聞

「ありがとう、またね」猫たちの最期の挨拶、飼い主の“不思議体験”、相棒猫との絆に涙あふれる

2022年9月2日(金)(オリコン)

最期に不思議な出来事を起こした「ぬし」(写真:ねこけんブログより)

最期に不思議な出来事を起こした「ぬし」(写真:ねこけんブログより)

 年老いた猫、ケガをした猫も保護するNPO法人『ねこけん』。保護後、猫たちはのんびりシェルターで暮らしたり、新たな家族に譲渡されたりする。だが、なかには残念ながら、天国に旅立っていく猫もいた。ここでは、代表理事・溝上奈緒子氏に聞いた、旅立った猫たちの少し不思議な物語を紹介する。猫と人、猫と猫。それぞれの絆の物語だ。

【写真】「泣いてまうやろ…」“不思議体験”で最期の挨拶をした「ぬし」、別れは手を握って…

■“猫出会い系体質”の女性と「ぬし」、穏やかな日々の終わりは不思議な体験

 「ぬし」は、『ねこけん』ボランティアメンバーのATさんが公園で出会った猫。“猫出会い系体質”と言われていたATさんは、偶然訪れた場所でさまざまな猫たちを保護してきた女性だ。「彼女は普段は車移動なんですが、たまに徒歩で外出すると頻繁に猫に出会っちゃうという、不思議な体質なんです」とのこと。

 そんなATさんは、人懐っこい「ぬし」が公園のベンチでゴロゴロしているところを保護。晴れて“公園の主”から、保護猫の「ぬし」となり、シャンプーされてイケメン猫へと変貌した。しかし、保護したときから高齢で貧血気味だった「ぬし」の保護猫生活は、そう長くはなかった。

 鼻の中に腫瘍が発見され、高齢のために手術を断念。悩んだ挙句、投薬での治療を選んだATさんは、最期まで寄り添う覚悟を決めたという。残りはわずかな時間であったが、「ぬし」はATさんのもとで幸せな生活を送り、そして虹の橋を渡っていった。不思議なことが起こったのは、「ぬし」が旅立った日のことである。

 危険な状態に陥り、急いで動物病院で応急処置をしてもらったものの、病院を出たあたりで息を引き取ったという「ぬし」。ATさんは家へ連れて帰ろうと、車に乗り、自宅までの道順をナビで設定してから出発したという。すると、ナビはいつもと違う道を案内し、気がつくと、着いたのは「ぬし」と出会った公園だった。

 人懐っこい「ぬし」が公園でどんな生活をしていたのか、もはや知ることはできない。しかし、ATさんのもとで幸せな生活をしていたからこそ、長らく暮らしていた公園に、最期にふらりと立ち寄ってみたくなったのだろう。ATさんをそこへ連れていきたかったのかもしれないし、ATさんなら付き合ってくれると思ったのかもしれない。

 このエピソードを『ねこけん』ブログに投稿すると、同じような猫との不思議体験をしたという人のコメントが多く寄せられた。火葬場で飼い猫に別れを告げると、まるで「今までありがとう」と伝えるかのように、スマホから「ニャー」という音が勝手に鳴り響いたという話。亡くなった時、愛猫の鈴の音や足音が聞こえたという話。海外にいた飼い主の夢枕に立ち、知らせをしていった猫の話。そして、離れて暮らす飼い主が自分のもとに到着するまで待っていてくれて、わずかな最期のときをともに過ごしてから亡くなった猫の話――。

 愛猫や愛犬との別れを経験した飼い主の間では、「毛皮を着替えて戻ってくる」という言葉がある。亡くなった動物が再びこの世に生を受け、また同じ飼い主のもとへ戻ってくるという表現だ。もしかしたら「ぬし」も天国に立ち寄ったあと、「毛皮を着替えて」ATさんのもとへ帰ってくるかもしれない。“猫出会い系”と言われるほどのATさんだ。その日は、そう遠くないような気がする。

 『ねこけん』の頼れる兄貴・パン君は、首に大ケガをして保護された猫。もともと近所の人々に可愛がられ、地域猫として生きてきた。シェルターで暮らし始めたパン君だったが、譲渡会でなかなか縁がつながらず、気づけば約3年の時が経っていた。だが、パン君は物静かで優しい猫。後から来たどんな猫でも受け入れ、シェルターの兄貴として慕われた。

 そんなパン君に思いきり懐いたのが、まったくもって人馴れしないキジトラ猫・ピーポーだった。野良として生きてきたことを伺わせる、シャーシャー顔がトレードマーク。だが、そんなピーポーは優しい兄貴パン君が大好きなようで、2匹はいつも一緒。兄弟以上の親友、一心同体でシェルター生活を送っていた。そうして、ピーポーもまた、『ねこけん』で約3年を過ごした。

 2匹につらい別れが訪れたのは、今年の3月のこと。苦しそうにしていたピーポーは救急搬送され、必死の治療が行われたものの、願いもむなしく虹の橋を渡ってしまった。ピーポーの亡骸がシェルターに戻ると、パン君は「なんで起きないの?」というような戸惑いの表情。メンバーは「パン君、ピーポーは寝ているんじゃないんだ」と、「今日でお別れなんだ」と説明をしたという。

 約3年を共に過ごした相棒を亡くしたパン君。だが、そんなパン君をあるメンバーが家族に迎えることになった。

 「そのメンバーは、ピーポーの里親を希望していた、最期に家族に迎えてくれた人です。ピーポーは旅立ってしまったけれど、パン君だけでも家族に迎えたいと。パン君は3年もシェルターにいましたが、ピーポーが縁をつなげてくれた。虹の橋を渡っても、大好きなパン君に大きな幸せをプレゼントしてくれたんです」

 パン君とピーポーが、家族としていられるように。ずっと先に、いつか再会できるように。パン君が暮らすメンバー宅に、ピーポーのお骨も引き取られた。

 今、パン君はメンバー宅でゆったりのんびり暮らしている。窓から明るい日差しを浴びながらくつろぐ隣には、本来ならピーポーの姿があったはずだ。でも、パン君は今、一人…。だが、そんなパン君の写真が載った『ねこけん』のブログには、こんなことが書いてある。

 「でも…よく見ると パン君の隣…ピーポー分の空間が。
 ああ!もしかしたら、時々ピーポーが、
 こっそり遊びに来ているのかも知れませんね…
 今もそっと寄り添っているのかも知れません。
 それはパン君とピーポーだけの秘密。
 パン君にしかわからない、ピーポーの気配…」

 長い長い保護猫生活を仲良く過ごした2匹は、いる場所は違えど今も寄り添っているのかもしれない。優しい家族に見守られながら、ピーポーの気配を感じながら。パン君にはピーポーの分まで長生きしてほしい。

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