パリで見かける印象的な門扉、街灯、フレスコ画、噴水、etc。
パリ市議会は6月、こうした「小さな遺産」を保護するための行動を起こすことを決定した。
小さな遺産(petit patrimoine)とは、歴史的建造物とまではいかないが、日常に溶け込むように存在する歴史的、芸術的、印象的なモニュメントのことを指す。
小さな遺産の中には、地域の歴史や活動と密接に繋がっている有名なものもある。
例えばすでに例が挙げられているのは、「モンマルトルのジュテームの壁」、「ポン・デ・ザール(芸術橋)の木製デッキ」などだ。
しかしながら小さな遺産は時間の経過や天候の影響によって劣化しやすいのが特徴で、一部を除き、手入れ不足が多方面から指摘されていた。
今回の計画のメインは、その小さな遺産の選出にパリ市民が参加できるというもの。
つまり自治体が独断で決めるのではなく、これから設置される「参加型プラットフォーム」を通して、守るべき対象が選ばれるという流れになる。
この参加型プラットフォームにより、すべてのパリ市民が、もっと注目されるべき、あるいは修復されるべき小さな遺産をリストアップできるようになる。(現在は作成中とのこと)
また自治体は同時に、建築家らで構成される「パリ小遺産監視団」を設立するという。
公募で挙がった小さな遺産は、専門家によってどの程度の修復が可能か判断され、決定に至るということだ。
一方で資源不足、特に財源の不足問題が取り沙汰されている。
しかしパリ市議会は今回、クラウドファンディングの設置を拒否した。
今後は法人または個人から1ユーロの寄付を受けるごとに、パリ市がさらに1ユーロを寄付するという第二プラットフォームも構築する予定なのだそうだ。
またすべての修復プロジェクトにおいて、市はパリに暮らす職人やアーティストを優先して採用すると発表している。
2024年からは、「小さな遺産の日」も新しく設定される予定だ。
この新しいイベントには、あまり知られていない小さな遺産をできるだけ多くの人々に知ってもらうという目的がある。
なお「小さな遺産の日」には、パリに住む小学生が主役になる。
子どもたちはパリ市関係者、学校スタッフと協力して、自分たちの住む地域にある小さな遺産を大人向けに紹介していくのだという。
パリ市は今回、遅くとも2024年1月までには諸々の詳細を公表するとしている。
パリには数多くの歴史的建築物があるが、そのほとんどは重要文化財・世界遺産に指定されている。
しかし古い門扉、彫像、街灯、壁画などもパリの芸術性を高める大事な要素だ。
こうした小さな遺産が保護対象になることによって、芸術の街パリに相乗効果が生まれる可能性が高い。
なお小さな遺産は物質に限らず、植物的なもの(木など)も対象になるそうだ。(大)
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