バイスチェア兼プレジデント ブラッド スミス (Brad Smith)
CVP 兼チーフリーガルオフィサー ホセイン ナウバー (Hossein Nowbar)
※本ブログは、米国時間 9 月 7 日に公開された “Microsoft announces new Copilot Copyright Commitment for customers” の抄訳を基に掲載しています。
マイクロソフトの AI 支援 Copilot 機能は、私たちの働き方を変え、お客様をより効率的にし、新たなレベルの創造性を解き放っています。この革新的なツールは、新たな可能性への扉を開く一方で、新たな疑問も投げかけています。生成 AI の出力を使用した際の知的財産権侵害のリスクを懸念しているお客様もいらっしゃいます。作家やアーティストが、自分たちの作品が AI モデルやサービスでどのように利用されているのか、疑問を公に表明していることを考えても、この懸念は理解できます。
このようなお客様の懸念に対応するために、マイクロソフトは新たに Copilot Copyright Commitment を発表します。Copilot サービス、そして、それが生成する出力結果を、著作権に関するクレームを心配することなく使用できるかどうかというお客様の疑問に対して、マイクロソフトは単刀直入な回答を提供します。それは、「はい、使用できます。そして、万一、著作権上の異議を申し立てられた場合、マイクロソフトは法的リスクに対して責任を負います」というものです。
この新たなコミットメントは、既存の AI Customer Commitment に基づき、マイクロソフトの知的財産権に関する補償サポートを法人向け Copilot サービスにも拡大するものです。具体的には、第三者がマイクロソフトの Copilot または Copilot が生成する出力結果を使用した法人のお客様を著作権侵害で訴えた場合、お客様が製品に組み込まれたガードレールとコンテンツフィルターを使用しているという条件の下で、マイクロソフトはお客様を弁護し、訴訟の結果生じた不利な判決または和解により課された金額を支払います。
詳細を以下に述べますが、まず、このプログラムを提供する理由について見ていきましょう。
- マイクロソフトは、製品を使用するお客様を支援する重要性を確信しています。マイクロソフトが、法人のお客様向けに Copilot を有償で提供している以上、法的問題が発生した場合にはお客様の問題ではなく、マイクロソフトの問題であるととらえます。この理念は決して新しいものではありません。マイクロソフトは約 20 年にわたり、自社製品に対する特許権侵害のクレームからお客様を守り、その適用範囲を着実に拡大してきました。Copilot に向けられた著作権侵害のクレームをカバーできるよう補償義務を拡大することは、この流れに沿ったものです。
- マイクロソフトは、クリエイターの懸念を理解しており、その懸念に対処する責任は、お客様ではなくマイクロソフトが負うべきだと考えています。既存の著作権法による保護が明確な領域においても、生成 AI は公共政策上の新たな問題を提起し、さまざまな課題を明らかにしています。マイクロソフトは、知識の普及を促進し、社会の重要課題を解決するために、世界が AI を必要としていると信じています。しかし、同時に、クリエイターが著作権を保持し、創作物から健全な収益を得られるようにすることも極めて重要です。そして、AI モデルの訓練とグラウンディングに必要なコンテンツが少数の企業に囲い込まれることで競争とイノベーションが阻害されることがないようにすべきです。マイクロソフトは、これらすべての目標に向けて創造的かつ建設的な手段を講じられるよう、真摯に継続して取り組んでいきます。
- マイクロソフトは、クリエイターの著作権を尊重するために、Copilot に重要なガードレールを組み込んでいます。マイクロソフトは、Copilot が著作権侵害コンテンツを出力する可能性を低減するためのフィルターなどのテクノロジを組み込んでいます。これらのテクノロジは、クラシフィケーション、メタプロンプト、コンテンツフィルタリング、運用監視、そして、第三者のコンテンツの著作権侵害などの不正使用の検出といった、多様なガードレール機能に基づいており、デジタルの世界の安全性、セキュリティ、プライバシーを保護するためのマイクロソフトの活動を基盤とし、補完するものです。Copilot Copyright Commitment では、お客様がこれらのテクノロジを使用することを前提とし、あらゆる人が著作権に配慮するためのインセンティブを生み出します。
Copilot Copyright Commitment の詳細
Copilot Copyright Commitment は、マイクロソフトの既存の知的財産権補償の対象を、法人向け Copilot サービスおよび Bing Chat Enterprise の有料版における、AI 支援 Copilot の使用と Copilot が生成する出力に対する著作権侵害のクレームにまで拡大するものです。対象には、Word、Excel、PowerPoint などに生成 AI を導入し、データの推論や、文書のプレゼンテーションへの変換を行ってくれる Microsoft 365 Copilot が含まれます。また、開発者が定型的コーディングに費やす時間を減らし、革新的なコードの作成に多くの時間を費やせるようにしてくれる GitHub Copilot も含まれます。
マイクロソフトのテクノロジが故意に悪用されて有害なコンテンツが生成される可能性があることから、本プログラムには重要な条件が設けられています。このような可能性を避けるために、お客様は、製品に組み込まれたコンテンツフィルターなどの安全システムを使用する必要があり、お客様が適切な使用権を持たないデータを Copilot サービスに入力することで意図的に著作権侵害物を生成してはなりません。
なお、この新しい施策は、Copilot サービスの出力について知的財産権を主張しないというマイクロソフトの立場を変えるものではありません。
マイクロソフトは、Copilot Copyright Commitment の詳細をお客様向けに公開しており、Copilot の普及に伴い、さらなる対話を行う機会を歓迎します。
共に歩む AI の旅
今日の発表はその最初のステップです。すべての新たなテクノロジと同様、AI も法的問題を提起しており、テクノロジ業界はさまざまな利害関係者と協力していく必要があります。今回のステップは、マイクロソフト製品の著作権に関する責任は、マイクロソフトが担うべきものであることをお客様に誓約するものです。
マイクロソフトは AI の将来を楽観的に見ていますが、どのような強力なテクノロジでも言えるように、著作物の保護といった関連する課題やリスクについても注視しています。テクノロジ業界、作家やアーティストとその代理人、政府関係者、学術界、市民社会などの意見を聞き、協力することで、こうしたリスクを管理するお手伝いすることがマイクロソフトの責務です。マイクロソフトは、クリエイターの皆さまの権利とニーズを保護しながら、AI が知識の普及を促進できるよう支援していくことで、今回の発表をさらに発展させていけるよう注力して参ります。
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