ギリシャのデジタルガバナンス省は10月12日、国内のサイバーセキュリティー強化のため、欧州サイバーセキュリティー能力センター(ECCC)と助成金契約を締結し、国内におけるSOC(注1)である統合サイバーセキュリティー報告センターの開発と運用に対する資金提供について合意した旨を発表した(プレスリリース、ギリシャ語)。
同契約は、EUのデジタル・ヨーロッパ・プログラム(注2)の一環として実施され、プロジェクト予算の970万ユーロのうち、50%が同プログラムからの資金提供によって、残りの50%は国内の予算によって賄われる予定だ。
なお、ギリシャ政府は、EU復興基金を通じて公的部門と重要インフラのサイバーセキュリティーシステム強化のための資金を確保しており、すでに進行中の5,000万ユーロのプロジェクトの中には国家サイバーセキュリティー機関が運用するSOCの構築も含まれている。
この取り組みにより、ギリシャは、EUの共同プロジェクトである「欧州サイバーセキュリティーの盾」の実現に向けて、キプロス、マルタ、ブルガリアと協力し、現代のサイバー脅威から国の重要インフラとサイバースペースを保護する。統合サイバーセキュリティー報告センターは、次のような役割を果たす。
- 最新の人工知能(AI)と機械学習ツールを用いて、国家全土におけるサイバー脅威の早期検知と対応のための、国家レベルの能力を開発、支援、強化することを目的とする。
- 分野別のSOCから成る「全国SOCネットワーク」の中心的な役割を担い、サイバー攻撃の識別、管理、対応、復旧において、参加組織をサポートする。
- 国家レベルの既存のSOCの一元的な参照ポイントとして、国のサイバーセキュリティーの全体的なレベルを把握する。
ディミトリス・パパステルギウ・デジタルガバナンス相は、プレスリリースの中で「助成金契約は、ギリシャのサイバーセキュリティーを強化する重要なプロジェクトを実施するための基盤となるもの。『統合SOC』は国内のデジタル化への移行を大幅に促進し、公共および民間部門の重要なシステムのサイバーレジリエンスを向上させるとともに、市民が安全にインターネットを利用できる環境を提供する」と述べた。
(注1)Security Operation Centerの略。サイバー攻撃の検知や分析を行い、対策を講じる専門組織のこと。
(注2)調査レポート「EUデジタル政策の最新動向(第1回)」を参照。
(井上友里)
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