アンダーフィル技術とモールディング技術
電子情報技術産業協会(JEITA)が3年ぶりに実装技術ロードマップを更新し、「2022年度版 実装技術ロードマップ」(書籍)を2022年7月に発行した。本コラムではロードマップの策定を担当したJEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会の協力を得て、ロードマップの概要を本コラムの第377回からシリーズで紹介している。
本シリーズの第66回から、第3章第4節(3.4)「パッケージ組立プロセス技術動向」の内容説明に入った。第3章第4節は、第1項から第9項までの9個の項目で構成される。内容は、パッケージを組み立てるための要素技術の説明である。
前回は第3章第4節第4項(3.4.4)「ダイボンディングおよび電極ボンディング技術」の概要をご報告した。今回は第3章第4節第5項(3.4.5)「樹脂封止技術(アンダーフィル、モールディング)」の概要をご説明する。
樹脂封止とは、シリコンダイ(半導体チップ)の全体あるいは一部(主に回路面)を樹脂(封止材)で覆うことを指す。樹脂封止により、半導体チップを光や熱、ホコリ、機械的衝撃などから保護する。樹脂封止技術には大別すると、半導体チップと搭載基板の間に封止材を注入する「アンダーフィル技術」と、半導体チップ全体を樹脂で覆う「モールディング技術」がある。
「2022年度版 実装技術ロードマップ」(書籍)の記述でも、「3.4.5 樹脂封止技術(アンダーフィル、モールディング)」は、「3.4.5.1 アンダーフィル技術」と「3.4.5.2 モールディング技術」で構成される。「3.4.5.1 アンダーフィル技術」は、(1)CUF(Capillary Underfill)、(2)先塗布型UF(Pre-applied Underfill)、(3)MUF(Molded Underfill)、(4)WLUF(Wafer Level Underfill)の4つの項目から成る。
毛細管現象を利用したキャピラリーアンダーフィル
代表的なアンダーフィル技術は「CUF(Capillary Underfill)」だろう。「キャピラリーアンダーフィル」と呼ばれる。フリップチップボンディング工程で回路面のバンプ電極をパッケージ基板(あるいは中間基板、プリント基板)に熱圧着した後、シリコンダイの四辺に液状のアンダーフィル樹脂材料を塗布する。すると毛細管(キャピラリー)現象によってシリコンダイと基板の隙間全体にアンダーフィル樹脂材料が広がる。それから全体を加熱し、アンダーフィル樹脂材料(CUF材料)を硬化させる。
「2022年度版 実装技術ロードマップ」では、CUF材料に要求される特性のロードマップを、2021年から2031年まで2年ごとに記述している。用途の種別は、パッケージサイズの大きな「大型IC」、パッケージサイズが小さな「中小型IC」、積層構造の「2.5D/3D」である。特性の項目は「ガラス転移温度(Tg)」「熱膨張係数(CTE)」「弾性率」「フィラー径(平均/最大)」「破壊靭性値(K1c)」となっている。
「大型IC」向けでは熱膨張係数の最小値を下げること、最大フィラー径の小さなフィラーを開発すること、などが要求される。「中小型IC」向けではガラス転移温度の最高温度を上げること、最大フィラー径を小さくすることが求められる。
「2.5D/3D」向けではフィラー径の小型化に対する要求がIC単体に比べて強いこと、「熱伝導率」が要求項目に追加されていること、などが特徴である。
からの記事と詳細 ( シリコンダイを光や熱、ホコリ、機械衝撃などから保護する樹脂封止技術 - EE Times Japan )
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