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Thursday, August 13, 2020

「核のごみ」合意形成は難関、問われる寿都町の本気 - 日本経済新聞

北海道寿都町の片岡春雄町長

北海道寿都町の片岡春雄町長

北海道寿都町が高レベル放射性廃棄物(核のごみ)最終処分場誘致につながる文献調査への応募検討を表明した。片岡春雄町長は本格誘致に乗り出すかどうか明言しておらず、現時点では最大20億円の交付金に期待が大きい。北海道が難色を示すなど、合意形成の難しさは早くも表面化した。

片岡町長は13日、日経新聞の取材に「短絡的に考えれば100年安心の産業で、相当なお金が町に落ちる。ただそれが全ての幸せだとは思わないし、処分場を誘致するかは時間をかけて皆さんと学び、段階的に議論する」と言葉を選んだ。

処分場の選定は3段階の法定調査に約20年かかり、建設まではさらに長丁場となる。その第1段階となる文献調査は地質図などを用い、活断層の有無や土地の浸食状況を確認する。自治体は調査を受け入れると年間10億円程度の交付金が支払われ、実際に建設や操業に至れば地元発注が年150億円にのぼるという経済効果の試算もある。

寿都町で処分場の調査についての議論が本格化したのは6月。新型コロナウイルスの感染拡大で漁業や加工業が打撃を受け、危機感が高まっていた。7月末現在の人口は2900人。町は風力発電が稼ぎ頭で、年間の売電収入は平均7.5億円と、町税収入(2億円強)を上回る。40年には町の人口が2000人を割りこむ試算もある。

寿都町は19年から勉強会を開いて検討していたといい、月内に町民向けの意見交換会を開催。効果と課題を整理した上で9月にも文献調査への応募の是非を判断する。

片岡町長は「国も困っている。手を上げるだけで相当な価値がある」と読む。国内の議論を盛り上げる狙いもあるというが、北海道はすでに条例を設けて核のごみを持ち込ませないことを定めている。寿都町の決断は道内の他の自治体から反発を招く可能性がある。

世界の主流となっている「地層処分」では、放射能が無害化されるまで10万年単位で地下深くに保管する。政府は地下300メートルより深い岩盤に埋めて核のごみを最終処分する計画を掲げるが、計画は10年以上、宙に浮いている。11年の福島第一原発事故で原発の安全神話は崩壊し、処分場受け入れに手を挙げる自治体はほぼいなくなった。

07年に高知県東洋町長が文献調査に応募したが、町民らの反対を受け撤回。16年には佐賀県玄海町が前向きな姿勢を示したが、その後の適地調査で外れた。

経済産業省は17年、処分場の候補地になり得る地域を色分けして示した全国地図「科学的特性マップ」を公表。核のごみを一時保管する青森県六ケ所村の施設から船で運びやすい沿岸部を有望な地域として示した。これ以降、文献調査への応募検討を表明した自治体ですら寿都町が初めてだ。

19年、道北部の幌延町で日本原子力研究開発機構が使用済み核燃料の処分方法を研究してきた「幌延深地層研究センター」をめぐり、道内を二分する議論が起きた。機構が求めた研究期間の28年度までの延長について「最終処分場の候補地になるのでは」という疑心暗鬼が広がったためだ。最終処分場にしないことを機構が確約して延長されたものの、ことほどさように警戒感は強い。

数10基の原発がありながら最終処分場のない日本の現状は「トイレなきマンション」とも揶揄(やゆ)される。主体的な立候補に期待してきた政府にとって渡りに船ではあるが、寿都町が住民や地域の合意を取り付けたとは言いがたい。

北海道の鈴木直道知事は13日の談話で「道内に処分場を受け入れる意思がない(中略)条例を順守しなければならない。寿都町に対しては速やかにお考えを確認してまいりたい」と不快感をあらわにした。調査受け入れで資金を得た後にどうするのか、まずは寿都町が処分場誘致の本気度を示す必要がある。

(向野崚)

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