2022年02月19日07時04分
総務省の有識者会議は18日、インターネットの利用者情報の取り扱いに関する規制強化を求める報告書をまとめた。閲覧履歴などを外部送信する際、利用者への通知・公表などを事業者に求める内容にとどまり、最終局面で事業者側に配慮して大幅に後退した。同省は今後、制度改正に着手するが、規制強化が腰砕けに終わったことで残された課題は多い。
対話アプリ「LINE」の利用者情報を中国の業務委託先が閲覧できた問題などを受けて立ち上がった同会議。情報の取り扱いをめぐり、焦点となったのが利用者情報の外部送信への規制だ。ネットを閲覧すると、利用者が知らないうちに履歴が広告会社などに送信され、広告の配信に使われている。
有識者会議は当初、外部送信について本人同意の義務付けを目指したが、経済界の反発で利用者への通知・公表も認める形へ骨抜きにされた。現状でも自主公表する事業者は多く、規制の効果は疑問だ。また、情報の保管サーバー設置国の公表を含む管理体制の強化は大規模事業者に絞った。
海外では、利用者情報を保護する動きが強まっている。欧州では、利用端末やブラウザーを判別するオンライン識別子、閲覧履歴といった個人を特定しない情報も個人情報として扱い、外部送信には利用者の同意が必要だ。
米グーグルはスマートフォンのアプリの使用状況を外部企業が広告配信に利用する仕組みを制限する方針だ。米アップルはアプリの追跡に利用者の同意を義務付けている。
一方、日本の個人情報保護法の場合、個人を特定できないデータは規制されない。今回、同法が対象としない範囲も規制しようとしたことが経済界の反発を呼んだ。
ネット上の仮想空間「メタバース」の普及など社会のデジタル化が加速する中、情報管理をめぐる課題は今後、一段と複雑になるのは確実だ。
情報セキュリティーに詳しい明治大の湯浅墾道教授は「規制を広げた点では第一歩だ」と評価した上で、「データの取り扱いで日本の立ち位置が明確でない」と述べ、議論を深める必要性を指摘した。
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