沖縄県の離島・久米島で7月、絶滅危惧種のアオウミガメ30匹超が殺傷され、地元の漁業者が「網にかかり、仕方なく刺した」と関与を認めたことが波紋を広げている。ウミガメは保護すべきか、それとも駆除すべきなのか――。背景を探ると、単純には割り切れない問題が見えてきた。
アオウミガメは7月14日昼過ぎ、島の沿岸で30匹超が網に絡まるなどして見つかった。多くに、首の付け根付近に刺されたような傷があった。
関係者によると、地元の漁業者が「魚を取ろうとしたらウミガメが大量に網にかかった。何匹かは逃がしたが、重いウミガメは動かせない上にかみついてくるので、仕方がなく刺した」という趣旨の話をした。
アオウミガメは国際自然保護連合(IUCN)や環境省のレッドリストで絶滅危惧種に指定されている。環境省は2006年、ウミガメ類の生態や卵を見つけたときの処置方法などをまとめた「保護ハンドブック」を作成している。
一方、「種の保存法」で捕獲や殺傷などを禁じる希少生物には指定されていない。動物虐待を禁じる動物愛護法でも、海洋の野生動物は対象ではない。
沖縄県は漁業法に基づく漁業調整委員会指示で、食用や水族館の飼育などのため、承認を得た漁業者に限ってウミガメを捕獲することを認めている。アオウミガメであれば年間205匹が上限で、産卵期に当たる6、7月は禁漁にしている。
今回のケースが捕獲に当たるのか、県水産課は「確認が必要だ」とする。
世界的に保護されているウミガメは、自然保護の「象徴」のように扱われている。ウミガメがクラゲと誤ってポリ袋をのみ込む問題は、ごみによる海洋汚染の深刻さを浮き彫りにした。15年には、中米コスタリカで鼻にストローが刺さったウミガメが見つかり、プラスチック製ストローをやめる運動につながった。
今回の問題も、その関心の高さをうかがわせた。殺傷を伝える記事はツイッターなどで拡散した。町には「ひどい、ウミガメがかわいそう」「久米島の観光にはもう行きません」など、電話やメールで多数の抗議があった。
「ウミガメの保護活動を通して、海洋環境の保全や大切さを発信してきた町にとりまして、今回の事態は非常に痛ましく遺憾であるとともに、皆様に対し、心よりおわびを申し上げます」。久米島町の桃原(とうばる)秀雄町長は20日、町のホームページで謝罪した。
絶滅危惧種だが、希少植物に被害も
島のほぼ全域が県立自然公園に指定されている久米島町は、観光資源の一環として、町ぐるみでウミガメの保護を進めてきた。
しかし町民によると、近年…
からの記事と詳細 ( 「自然保護の象徴」ウミガメ大量殺傷の複雑な背景と、ある解決法 - 毎日新聞 - 毎日新聞 )
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