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Sunday, December 25, 2022

生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)におけるアントニオ ... - 国連広報センター

©UN Photo/Evan Schneider

トルドー首相、各国代表の方々、友人の皆様、

自然は人類の最良の友です。

自然がなければ、私たちには何もありません。

自然がなければ、私たちは何者でもありません。

自然は、私たちの生命維持装置です。

自然は、私たちが呼吸する空気、食する食料、使用するエネルギー、私たちが拠り所とする雇用や経済活動、人々の生活を豊かにする生物種、そして私たちが故郷と呼ぶ風景・水景の源であり、これらを維持しているものなのです。

しかし人類は、躍起になって破壊しようとしているようです。

私たちは自然と戦争をしているいるのです。

COP15は、和平を結ぶという緊急課題のための会議です。

なぜなら、今日、私たちは自然と調和していないからです。

それどころか、まったく異なる曲を奏でています。

私たちは、世界各地で数百年にわたり、混沌という不協和音を指揮し、破壊という楽器で演奏をしてきました。

森林破壊と砂漠化により、かつては豊かであった生態系が、荒れ地となっています。

私たちの大地、水、空気は、化学物質や殺虫剤で汚染され、プラスチックで窒息しています。

私たちの化石燃料への中毒的な依存が、気候を混乱に陥れてしまいます。その影響は、熱波や森林火災から、高温や干ばつで干上がり、あるいは危険な洪水によって浸水や破壊を受けるコミュニティーにまで及んでいます。

持続不可能な生産と消費により排出量が急増し、私たちの大地と海と大気が蝕まれています。

今日、すべての土地の3分の1が劣化しており、増加する人口に食料を確保することがより困難になっています。

植物、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、無脊椎動物が、どれも危険にさらされています。

100万種の生物が絶滅の危機に瀕しています。

海洋の劣化により、生命を支えるサンゴ礁やその他の海洋生態系の破壊が加速し、海洋に依存して生計を立てているコミュニティーに直接的な影響を及ぼしています。

多国籍企業は、銀行口座の残高を増やす一方で、世界にある自然の恵みを使い果たしつつあります。

生態系は、利益のおもちゃと化しています。

無制限で不平等な経済成長への底なしの欲望によって、人類は大量絶滅兵器と化しています。

私たちは自然をトイレのように扱っています。

究極的に言えば、私たちは代理人によって自殺を図っているのです。

自然と生物多様性の喪失には、莫大な人的コストが伴うからです。

失われた雇用、飢餓、疾病、死者などの数で測るコスト。

生態系の劣化によって、2030年までに年間3兆ドルの損害が生じると見積もられているコスト。

水、食料、エネルギーの価格上昇で測るコスト。

そして、最も貧しい国々、先住民、女性や若者に対する極めて不公正で途方もない損失で測るコスト。

こうした破壊に対して負うべき責任が最も少ない人々が、いつも最初に影響を受けているのです。

しかし、彼らで影響が止まることは、決してないのです。

友人の皆様、

COP15は、この行き過ぎた破壊を止める機会です。

不和から調和へと移行する機会です。

そして、この課題が必要とする野心と行動を活かす機会です。

私たちが今回の会合で必要としているのは、大胆な「ポスト2020生物多様性枠組み」にほかなりません。

生物多様性の大惨事を、その要因である土地・海洋利用の変更、種の乱獲、気候変動、汚染、侵略的な外来種に対して緊急に取り組むことで食い止める枠組み。

こうした破壊の根本原因である、有害な補助金、誤った投資、持続不可能な食料システム、消費および生産パターンの拡大に対処する枠組み。

パリ気候協定から、私たちを持続可能な開発目標(SDGs)の達成へと近づけることのできる土地の劣化、森林、海洋、化学物質、汚染に関する各種協定に至るまで、私たちの地球を守るための他のグローバルな協定を支持する枠組み。

そして、明確な目標、基準、説明責任が伴った枠組み。

言い訳は許されません。

遅れは許されません。

取り交わした約束は、守らなければなりません。

友人の皆様、

今こそ、自然と和平協定を結ぶ時です。

これには、3つの具体的な行動が必要です。

第一に、各国政府は、金融や食料からエネルギーやインフラに至る、全省庁にまたがる大胆な国家行動計画を策定しなければなりません。

補助金と減税の対象を、自然を破壊する活動から、再生可能エネルギー、プラスチック削減、自然に配慮した食料生産、持続可能な資源採取などのグリーンな解決策へ振り向ける計画。

これまで常に生物多様性を最も効果的に保護してきた、先住民と現地のコミュニティーの権利を認め、保護する計画。

そして、資金ギャップを埋める上で寄与する「国家生物多様性資金計画」。

第二に、民間セクターは、利益と保護を両立させねばならないことを認識しなければなりません。

グローバル化の進んだ経済において、企業や投資家は、世界各地の自然の恵みを当てにしています。

保護を最優先することは、それらにとって最大の利益となります。

これは食品産業や農業が、持続可能な生産と、自然由来の手段による受粉、害虫駆除、施肥へと移行することを意味します。

林業、化学工業、建設業が、その事業計画で自然に及ぼす影響を考慮することも意味します。

また、バイオテクノロジー産業、製薬業、生物多様性を利用する他の産業が、利益を公平かつ公正に分配することも意味します。

さらに、グリーンウォッシング(見せかけだけの環境配慮)を終わらせ、民間セクターのサプライチェーンのあらゆる経路での行動に対する説明責任を民間セクター自身に負わせるための、厳格な規制枠組みと開示措置も意味します。

そして、自然や多数派にとっての実の利益に逆らって行動する一部の人々への富と権力の容赦ない集中に対して、異議を申し立てることも意味します。

企業と投資家は、自然の敵ではなく、盟友でなければならないのです。

そして第三に、先進国は、世界中の豊かな自然の管理人であるグローバル・サウスの国々に、大胆な資金援助を行わねばなりません。

開発途上国だけが重荷を背負うことを、期待してはなりません。

私たちには、開発途上国が大いに必要としている資金に、より直接的に、そして容易かつ迅速にアクセスできるようにするメカニズムが必要です。今日存在している官僚主義的な障壁については、皆様もご存じのとおりです。

国際金融機関と多国間開発銀行は、自身のポートフォリオを、生物多様性の保全と持続可能な利用に対して整合させなければなりません。

そして、国際社会として、何十年、何百年に及ぶ劣化と喪失を経た今、生態系を保護し、回復させるすべての国々を支援しなければなりません。

こうした自然環境は、これまで私たちにとても多くのものを与えてきてくれました。

今こそ恩返しをする時です。

各国代表の方々、皆様、

私たちが子どもたちに伝える最も重要な教えは、自らの行動に責任を持つということです。

この基本的な試験に私たち自身が合格していないのに、どのような模範を示せるのでしょうか。

私は、変化と行動を求める世界中の若き環境活動家たちに、常に深い感銘を受けています。

しかし同時に、彼らに責任を押しつけて後始末をしてもらうことはできないことも、強く意識しています。

引き起こした損害の責任を受け入れ、それを修復する行動を起こすかどうかは、私たち自身にかかっています。

億万長者たちの妄想を除けば、プラネットB(地球に代わる惑星)は存在しないのです。

私たちは、私たちが持てる世界を修復しなければなりません。

私たちは、この素晴らしい恵みを大切にしなければなりません。

私たちは、自然と和平を結ばなければなりません。

私は皆様に、正しい行動をとるよう要請します。

自然のために立ち上がりましょう。

生物多様性のために立ち上がりましょう。

人類のために立ち上がりましょう。

一緒に、野心的な枠組み、すなわち自然との和平協定を採択・実行することで、より良く、よりグリーンで、よりブルーで(海洋に配慮した)、より持続可能な世界を、私たちの子どもたちへと引き継ごうではありませんか。

ありがとうございました。

* *** *

原文(English)はこちらをご覧ください。

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