『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』(以下、『ポケモンSV』)登場ポケモンのパモについて、SNSを中心に奇妙なネットミームが流行しているようだ。ベースとなるのは「Oh! パモさん、床の隙間の汚れWatch……カワイイカワイイね」というテキスト。これは「パモさん構文」と呼ばれ、ワードの一部がTwitterでトレンド入りするなど、Twitterを中心に今なお盛り上がりを見せている。
パモは『ポケモンSV』から登場するねずみポケモンだ。オレンジ色の体毛と大きな前足、ちょこんと生えた頭の毛が特徴である。『ポケモンSV』では野生に登場するだけでなく、アカデミーの校内に迷い込んでくるパモを保護するイベントがある。これは言語学教師のセイジとの絆イベントで、保護にいたるまでの経緯からか鳴き声も発せないほど無口になってしまったパモとセイジの触れ合いが描かれる。
セイジは少しうさんくさい話し方をする教師である。一人称は「ワシ」、二人称は「オヌシ」で、多言語の入り混じった独特の胡乱な語彙で話す人物だ。イメージとしては、タレントのルー大柴氏の「ルー語」が近いだろう。そんなセイジが、パモとのイベント中に「Oh! パモさん、床の隙間の汚れWatch」という印象的なセリフを話し、それがネットミーム化して流行した……というわけではない。実はこのセリフはセイジが作中で発したセリフではなく、人気ゲーム実況者ジャック・オ・蘭たん氏による『ポケモンSV』実況動画での発言なのである。
ジャック・オ・蘭たん氏は、2007年から活動しているゲーム実況者だ。ゲーム実況というジャンルが勃興した頃からコンスタントな動画投稿を続けており、2023年現在活動は16年目。ニコニコ動画をルーツとしていたが現在はYouTubeを中心に動画を投稿しており、軽妙で安定したトークが人気の実況者である。
「Oh! パモさん、床の隙間の汚れWatch」という発言が出たのは、ジャック・オ・蘭たん氏が1月5日に投稿した『ポケモンSV』実況動画でのこと。セイジの絆イベント中、パモが無言でセイジの足元にたたずんでいるシーンでの出来事だった。プレイ中の何気ない一言だったようだが、動画投稿から1か月ほどかけてじわじわと拡散。セイジの絆イベント未プレイ者のなかには作中のセリフだと誤解する人もいたようで、「セイジっぽいがセイジのセリフではない」というシュールさが話題となってか1月27日に「Oh! パモさん」とのワードがTwitterトレンド入りを果たした。
また、「Watchするパモさん」がぬいぐるみで簡単に再現できることも流行に一役買ったとみられる。パモは『ポケモンSV』で新登場したポケモンだが、すでにポケモンセンターなどでぬいぐるみが販売されている。そのぬいぐるみを自宅の床にでも置けば、「床の隙間の汚れをWatch」するパモが容易に撮影できるのだ。Twitterで「Oh!パモさん」の検索結果を見ると、さまざまなものを「Watch」しているパモのぬいぐるみを見ることができる。
ジャック・オ・蘭たん氏は1月27日の生配信で、「パモさん構文」がバズったことについて言及。「自分でも言ったことはあまり覚えてない」「あれを言ったのは俺じゃなくてセイジ」とし、「一個の定型文みたいになったら嬉しいけど、すぐに忘れられると思う」と語っていた。
人気ゲーム実況者の発言により話題となった「パモさん構文」。SNSでは記事執筆現在もこのネットミームを添えてパモの写真を投稿するのが流行しているようだ。このブームは長く続いて定着するのか、それとも発言者であるジャック・オ・蘭たん氏の言うようにすぐに忘れられてしまうのか。パモさんとともに今後の動きをWatchしていきたいところだ。
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