罪を犯した人の立ち直りを支援する保護司制度を抜本的に見直すため、政府が有識者の検討会を設置した。
日本社会に根付く保護司制度は、高齢化や社会構造の変化で担い手不足が問題となっている。改善する手立てを講じなければ、制度の維持にも支障を来しかねない。
保護司は民間から選ばれる。重要施策である再犯防止の一翼を保護観察官と保護司という官民で取り組む制度は日本独自のものだ。保護司の選任方法や待遇見直しなどの検討を急ぎ、幅広い人材の確保につなげてもらいたい。
保護司は、刑を終えた人や仮出所者ら保護観察の対象者が社会で更生できるよう、定期的に対象者と面接して生活の相談に乗り、就職の手助けなどを行う。
法相の委嘱を受けた非常勤の国家公務員ではあるものの、交通費などの実費以外は無報酬の地域ボランティアである。
法律が定める定員は5万2500人だが、今年1月時点で委嘱されているのは、特例で再任した70代後半の1300人余りを除けば4万5654人にとどまる。8割近くは60歳以上で、高齢化が顕著である。
年代の偏りは、選任方法が影響している。保護司になるには各地の保護観察所長からの推薦が必要なため、候補者は地域の有力者に絞られがちだ。経験者が後任を指名するケースも多かったが、地域社会における人間関係の希薄化に伴って、こうした形での人材確保は難しくなっている。
検討会は門戸を広げるため公募制導入の可否を議論する。犯罪絡みの個人情報を扱う以上、適性の見極めは大切だが、意欲を持つ若い人を排除する理由はない。経験の浅い保護司の面談にはベテランが付き添う仕組みもある。
待遇の見直しも焦点だ。保護司法は「給与を支給しない」としているが、労力に見合う報酬を得るべきだと指摘する声がある。柔軟に検討するよう求めたい。
このほか、更生支援の広報活動といった保護司業務の一部のみを担う「担当制度」導入など、負担軽減策の議論も深めてほしい。
民間の善意を頼みとする保護司には「やりがい搾取」との批判もある。2年前、「HOGOSHI」の名で制度を世界に輸出すると宣言した法務省には、それに恥じぬ改善を果たす責務がある。
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