2023年9月5日(火)
ギグワーカー保護へ
経済界の反対押し
オーストラリアの労働党政権は4日、労働者の雇用における「抜け穴」をふさぐとして、「ウーバー」などギグエコノミーで働く人々に労働者としての権利を与えることなどを盛り込んだ「フェア・ワーク法修正案」を提出しました。経済界が反対するなか、バーク労使関係相は4日、「賃金が少なく支払われている豪州の労働者を保護するためだ」と強調しました。(鎌塚由美)
現地からの報道によると、修正案は▽ギグワーカーへの保護を導入▽派遣労働者は、派遣先の企業で「同一労働同一賃金」の待遇を受ける▽非正規労働者の正規化を容易にする▽「賃金窃盗」へ刑事罰を導入―などの柱からなります。
賃金の未払いを指す「賃金窃盗」には刑事罰を科す考えです。従業員16人以上の会社で雇用主が「賃金窃盗」を行えば、最大で禁錮10年、最高780万豪ドル(約7億円)の罰金を科すとしています。
バーク労使関係相は3日、「労働者がレジからお金を盗むと当然、刑事罰を受ける。しかし、この国の各地で雇用主が労働者の給料を盗んでも罪にならない」と述べ、「この二重基準をきっぱりと解消するときだ」と指摘しました。
現在、すでにビクトリア州とクイーンズランド州で賃金未払いに罰則が導入されていますが、2025年1月から全国レベルでの導入を目指しています。
ウーバーなどのアプリを介して働く人々、ギグワーカーについては、労働環境の劣悪さが問題となり、死亡事故も起きています。
法案には、職場関係裁定機関の「フェア・ワーク委員会」が、個別のギグワーカーの状況を判断して、労働者の地位があるかを判断することが盛り込まれました。労働者と認定された場合、最低賃金の対象となり、支払い時期などの労働基準も適用されるといいます。
労働者の権利を強化する修正法案については、野党の自由党からは、すでにダットン党首ら有力議員が反対を表明。緑の党のバント党首は、自由党、国民党の保守連合が反対した場合、上院での法案可決に緑の党の11議席が必要になると指摘。同党は、休日に職場からの電話に応じないなどの「つながらない権利」も法案に盛り込むよう要求しています。
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