慶應義塾大学大学院理工学研究科修士課程の藤田圭吾(研究実施時)、同大学理工学部および北里大学未来工学部の岡浩太郎教授、慶應義塾大学理工学部の堀田耕司准教授、新藤豊専任講師らは、株式会社資生堂みらい開発研究所の勝田雄治博士、後藤真紀子博士と共同で、活性酸素種にさらされたヒトのケラチノサイトで細胞内マグネシウムイオン濃度が上昇し、それが細胞内のエネルギー産生器官であるミトコンドリアを酸化ストレスから保護する効果があることを発見しました。
ヒトの皮膚は紫外線への暴露により発生する活性酸素種に常にさらされています。活性酸素種による酸化ストレスは、肌の老化、炎症やさまざまな疾患の原因になると言われています。その原因の一つは、ミトコンドリアという重要な細胞内のエネルギー産生器官の活動が酸化ストレスで阻害されることです。本研究で注目したマグネシウムイオンは皮膚を構成する細胞の増殖促進や皮膚バリア機能の回復に役立つことがこれまでに知られていましたが、皮膚細胞の内部でのマグネシウムイオンの動態とその役割については明らかにされていませんでした。今回、蛍光イメージング法を用いて、皮膚表皮の大部分を占めるケラチノサイトが活性酸素種の一つである過酸化水素にさらされた際に、細胞内マグネシウムイオン濃度を増加させ、それがミトコンドリアの機能低下を抑制し、酸化ストレスから細胞を保護することを明らかにしました。さらに、細胞外からマグネシウムイオンを取り込ませることでこの保護効果を増強できることを発見しました。このように、マグネシウムイオンの抗酸化作用を明らかにしたとともに、皮膚を保護する成分としてのマグネシウムイオンの有効性を示すことにも成功しました。
本成果は2023年8月24日に国際誌『 Communications Biology』に掲載されました。
からの記事と詳細 ( 肌の夏バテをミネラルで予防!-酸化ストレスからマグネシウムが ... - Keio University )
https://ift.tt/3KwNHkJ
No comments:
Post a Comment