英国政府は10月30日、暗号資産の一種であるステーブルコイン(注1)に関する規制計画を発表した。特定のステーブルコインは将来、小売り決済手段として普及し、消費者への選択肢の提供と効率化を促す可能性があることを示し、規制枠組みの整備によって、責任ある当事者に規制上の確実性を与えるとともに、金融安定リスクを緩和し、消費者を保護することで、この分野の成長とイノベーションを促すとしている。ステーブルコインに関する規制は段階的に導入する予定で、今回発表した計画は法定通貨担保型のステーブルコインに限定したもので、全体のフェーズ1に位置付けられる(注2)。
法定通貨担保型ステーブルコインの規制体制については、英国金融行為規制機構(FCA)が発行、カストディ(保管・管理など)、決済を、イングランド銀行(BOE、中央銀行)が体系的な決済システムと、関連するサービスプロバイダをそれぞれ所管し、両金融規制当局が連携しながら体制整備を進める予定。
金融当局が2024年2月初めまで意見公募
この発表を受けてFCAとBOEは、それぞれ11月6日に所管事項の細則整備に向けたディスカッションペーパーを公表し、2024年2月6日まで意見公募を行っている(意見公募:FCA、BOE)。また、政府は今回のフェーズ1に係る規制について、2024年の早い時期に2次立法での法案提出を目指す。
同国におけるステーブルコインに関する最近の動向としては、政府は2022年4月、英国を暗号資産技術の世界的なハブにする計画を発表、その一環として、ステーブルコインを有効な決済手段として認める方針で進めることを示した(2022年4月7日記事参照)。また、2023年6月29日には金融サービス・市場法案が成立し、暗号資産が法規制の対象となった。
FCAが2023年6月8日に発表した暗号資産に関する消費者への調査結果では、英国の成人のうち、暗号資産について聞いたことがあると回答した割合は2022年に91%で、2021年の78%から13ポイント増加した。また、2022年の暗号資産の推定保有者数は成人の約1割に当たる497万人で、2021年から約267万人増加したと推計。一方で、2022年に英国の成人のうちステーブルコインを聞いたことがあると回答した割合は10%、暗号資産保有者でステーブルコインを保有していると回答した割合は15%にとどまった。
(注1)ステーブルコインとは、特定の裏付け資産の値動きと連動させるなどして、価格変動リスクを低減させた暗号資産。法定通貨の値動きと連動する法定通貨担保型のほか、裏付け資産によって仮想通貨担保型、コモディティ担保型、アルゴリズムによってコインの供給量が決定される無担保型がある。
(注2)法定通貨担保型ステーブルコイン以外のより広範な暗号資産の規制はフェーズ2で検討される予定。
(奈良陽一)
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