愛する人を奪われた悲しみや苦しみは計り知れない。カップルのかたちによって、法的な扱いが変わる現状は理不尽だ。
国の犯罪被害給付制度に基づき、遺族が受け取れる給付金について、同性カップルも対象になり得るとの判断を最高裁が示した。
配偶者らに支給されるものだ。「事実上婚姻関係と同様の事情にあった人」も含まれると法律に明記されている。
原告の男性は、約20年連れ添った同性のパートナーを、10年前に殺害された。
愛知県公安委員会に遺族給付金を申請したが、同性同士であることを理由に不支給とされた。不服として提訴したものの、1、2審では訴えが退けられていた。
同性カップルが対象とされてこなかったのは、日本では同性婚が認められていないからだ。
最高裁判決は制度の目的について、犯罪被害者の死亡で受けた精神的、経済的打撃を早期に軽減することだと指摘した。その必要性は「被害者と共同生活を営んでいた人が、異性か同性かで異ならない」と認めた。
同性同士というだけで対象外とするのは、制度の趣旨に反すると結論づけた。当然の判断である。
日本弁護士連合会によると、事実婚の人も法律上の配偶者と同様に扱うとする規定は、200以上の法令にある。遺族厚生年金や労災の遺族補償年金の支給、健康保険法による給付などだ。
判決で裁判長は、あくまでも犯罪被害給付制度に関する判断であり、他の制度については、それぞれの趣旨に照らして解釈を検討すべきだとの補足意見を付けた。
だが規定は、婚姻届を出していなくても、互いに助け合って共同生活を送るカップルの権利を守るために設けられたものだ。
同性か異性かを問わず、そうした生活実態に即して適用されるのが筋である。それは、今回のケースだけにとどまるものではないはずだ。
ただ、事実婚として扱われるだけでは不十分だ。税や親権、相続などの面で不利益を受ける状況は変わらない。
権利の保障を担保するには、法律で同性婚を認めることが不可欠である。
からの記事と詳細 ( 社説:同性カップルの権利 保護する法整備を早急に - 毎日新聞 )
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